通信教育クロストーク

2016年12月07日
京都の不思議コンシェルジュ:京都で冬に大根が振舞われる理由とは?

京都の冬の風物詩、大根焚(だいこだき)。なぜみんなで大根を食べるのか?
実は古来から続く、人々の願いが込められた慣習だった!?
今回もぶったんが不思議を追求します。

ぶったん:
冬になると京都の寺院で、大きな鍋で炊いた大根を振舞っているのを見かけます。他府県にはない珍しい習わしと聞きましたが、本当ですか?

八木教授
そうですね。大根焚は京都特有です。起源は寺院によって諸説ありますが、右京区にある了徳寺が大根焚の発祥と言われています。
大根焚のように、冬の京都には火を焚く慣習が多く残っているんですよ。

ぶったん:
火柱が立っているのを神社やお寺で見たことがあります。

※上の写真は、武信稲荷神社

八木教授
「おしたきさん」と京都の人々に呼ばれる慣習ですね。社寺や町内で行われ、みかんや御火焚饅頭などの供物が子供たちに配られます。

ぶったん:
ふむふむ。

八木教授
元は宮中の「庭火」の系譜を引き、種々の信仰と習合しながら、江戸時代から続いてきました。
佛教大学の図書館が所蔵する、江戸時代の絵巻「十二月あそひ」の中には、町家の前で供物を供え、楽しげに焚き火をする老若男女の様子が描かれています。

ぶったん:
へー!なぜ、人々は火を焚いたのですか?

八木教授
昔の人は、昼の時間が短いと太陽の力が不足して、人間が生きるための力も枯渇してしまうと考えていたようです。
それで、太陽の光の力が一年で最も弱まる冬至に合わせて火を焚き、枯渇したエネルギーを再生しようとしたのでしょう。

ぶったん:
火を焚くことが、エネルギーチャージだったなんて、面白いです〜。

八木教授
そうですね。それともう一つ。11月23日は何の日かわかりますか?

ぶったん:
勤労感謝の日では?

八木教授
現在はそうですね。でも実は、「新嘗祭(にいなめさい)」という収穫祭の日でした。今でも、全国の多くの神社で行われています。
でもちょっと不思議に思いませんか?稲の収穫は9月末〜10月上旬頃。収穫祭にしては遅いですよね。

ぶったん:
確かに。

八木教授
これも冬至の季節に合わせたからだと考えられます。枯渇したエネルギーを再生させ、さらに新たな命が生み出されるとされた冬至の季節に、来年の豊穣を祈願しようとした昔の人たちの祈りの心が感じられます。

ぶったん:
昔から残る習わしには、人々の願いが込められているのですね。ぶったんも、エネルギーをもらいに大根食べに行ってきます!

法輪山 了徳寺(ほうりんざん りょうとくじ)
京都市右京区鳴滝にあり、正西法師によって建てられた真宗大谷派の寺。御本尊は、聖徳太子が自ら桂の木を彫って造り、応仁の乱後に安置されたと伝えられる阿弥陀如来像。鎌倉時代から続く大根焚の発祥の寺と言われる。通称、大根焚寺。毎年、12月9日と10日に行う報恩講「大根焚き」では3000本の青くび大根を炊き、多くの参拝者で賑わう。

参考URL https://www.ryoutokuji.or.jp/

歴史学部 歴史文化学科について
「考古学・地理学」「民俗学・文化人類学」「芸術文化」「京都学」の4コースがあります。文献の解読のみならず、伝えられた事象や非文字資料を素材とする、広い意味での文化史を扱い、多様な文化のあり様を学びます。行事に接する、京都という地を生かしたフィールドワークも実施します。

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