社会人が小学校の先生を目指すにあたり知っておきたい基礎知識
社会人になって改めて、小学…
現在、本学通信教育課程歴史学科に在籍している二ノ宮尚樹さん(56歳)は、市役所にお勤めされながら、「教師になる」夢をかなえるために、今春、教育実習で母校である京都府立桂高等学校の教壇に立ちました。
その教育実習の折り返しの頃、合間の時間に、同校の柏木校長と人権学習での講演で訪れていた本学副学長の原清治教育学部教授を相手に、ご自身の教師をめざすきっかけや教師像について語ってもらいました。
(写真左から)
二ノ宮 尚樹 さん(学部(本科)歴史学部歴史学科4年)
柏木 佳久 校長(京都府立桂高等学校)
原 清治 教授(教育学部 副学長兼入学機構長)
50代で教員を目指し、佛大通信へ
原 二ノ宮さんが、教師を目指されたきっかけは何でしょうか。
二ノ宮 今は市役所職員として働いていますが、もともと高校在学中に教師になりたいと思っていました。
原 50代半ばでその想いが再燃されたのですね。
二ノ宮 近年「人生100年時代」といわれていますが、私は54歳で「人生の棚卸し」をしました。自分の人生を振り返り、あと50年自分は何を大切にし、どのようなことに喜びを感じ、そしてどんな生き方をすれば良いかを考えたとき人生の後半、これまで社会で蓄積した私の経験をこれからの未来を担う子どもたちに伝えていきたいという想いを強くし、高校時代に憧れた教師になろうと決意しました。
原 その目標をもってから、佛大通信を選ばれた理由は何でしょうか。
二ノ宮 働きながら学びやすい環境が整っていたことです。また、ちょうど佛教大学のオープンキャンパスに行く機会もあり、そこで原先生の講演会を聞いて、やはり「ここで学びたい」という気持ちが高まりました。
原 私が二ノ宮さんの人生を変えてしまったのですね(笑)
入学されて佛大通信はいかがですか。
二ノ宮 仕事の都合で土曜日に出勤する時がありますが、佛大通信の科目最終試験はオンライン受験で、土曜日と日曜日の2日間で何度でも一時保存ができるので、集中できる時間に試験に取り組めます。働きながら学びやすい環境であることを実感しています。
教育実習での課題と社会人経験の強み
原 教育実習で母校の桂高校に、久々に帰って来られていかがですか。
二ノ宮 やはり「自主・自立」、自らの判断での行動に責任を持つという校風は変わってないですね。
柏木 そこは時代が変わっても、「桂プライド」として変わらないところですね。※
二ノ宮 当時との違いはというと、生徒たちがちょっとおとなしくなったかなと感じます。
原 コロナ禍による影響が大きいですね。桂高校に限らず、全体的に同じ傾向があります。ただ、先ほど人権学習での講演のときでも煽れば盛り上がるノリは、桂高校の変わらない良さだと思います。
教育実習に取り組む中で不安に感じることはありますか。
二ノ宮 授業中、生徒たちはきちんと前を向いて受けていますが、私の授業の進め方が単調になっているのではないかと感じます。生徒を引き付けるにはどうしたらよいでしょうか。
原 それは経験値ですよ。
柏木 ただ、二ノ宮さんの授業を見ていると、今までの人生経験があっての落ち着きがあり、生徒たちにすっと話が入っていくのを感じます。
原 社会人経験を経ている人が教壇に立つということは、教科書にリアリティが出るということですよね。現職の先生方にはあまりない視点があると言えます。例えば、二ノ宮さんの場合は地方自治などの視点から、ぜひご自身にしかできない話をしていただきたいです。
母校の京都府立桂高等学校で教育実習を行う二ノ宮さん(2024年6月)
目指す教師像と今後の展望
原 教師免許状を取得し教師として採用後の、二ノ宮さんご自身が描く教師像をお聞かせいただけますか。
二ノ宮 私は、この歳になって教師を目指しているので、他の人とは少し違った生き方をしており、遠回りの人生を歩んでいます。しかし、私は、この遠回りをしたお陰で、人生のいろいろなことを学ぶことができました。人生、いろいろな生き方があって良いと思っています。教師になって人生の多感な時期に生きている高校生に私は、自分の経験を伝えたいのです。人生、無駄なことなど一切ない、目標を持って努力を続ければ、きっと自分の夢を叶えることができる。そして、何を始めるにも年齢なんて関係ない、いくつになっても挑戦し続けることの大切さを一人でも多くの高校生に理解してもらうため、自分の人生経験を伝えていきたいと思っています。
柏木 社会経験を強みに変えて教壇に立っていただくことは、子どもたちの教育に大事なことだと感じます。近年、教員不足によって教員採用の年齢制限が緩和されているなかで、学校側も、優秀で熱意のある人材を獲得したいと考えます。
また、探究活動・研究活動の授業では、教師が持っている知識以上のことに波及することがあります。教師も学び、子どもたちとともに成長することは、桂高校が昔から大事にしてきたことです。
原 最後に、二ノ宮さんのように、社会経験を積んで、本学で教師をめざす方へのメッセージをお願いします。
二ノ宮 人生100年時代と言われています。また、生涯学習時代と呼ばれて久しいですが、私はこれまで、自ら生涯学習を実践してきました。働きながら、大学および大学院に通い、そして今、通信教育で教師を目指して学んでいます。佛教大学は、私のように働きながらでも、ソフト、ハード両面にわたり、安心して継続できる環境がしっかりと整備されていますので、是非、佛教大学通信教育課程で学ばれ、ともに教師を目指しましょう。
原 本日は、教育実習生の立場から二ノ宮さん、また教育現場から柏木校長のお話を伺うことができ有意義でした。ありがとうございました。
※「桂プライド」
京都府立桂高等学校様は、「すべての生徒が桂高校生としての「桂プライド」を胸に、自分自身の姿に誇りを感じ、さらに自己を高めることができるように、一人ひとりを大切にする教育を充実させ、教職員一丸となって地域から信頼され愛される学校づくり」を目指されています。