社会人が小学校の先生を目指すにあたり知っておきたい基礎知識
社会人になって改めて、小学…
歴史学部 歴史学科 日本史コース 卒業生
はじめに
1966年3月、芝浦工業大学金属工学科を卒業し、鯉渕教授の推薦をいただき総合精密測定機器メーカに入社し、勤務すること46年。2012年6月、遣り残したことが多く、何か後ろ髪を引かれながらも、これ以上の長居は無用と判断し退任をさせていただきました。技術を活かして会社に、そして世界中のものづくり企業に貢献したいとの希望は、入社後6力月に亘る各部門での研修を終え、その直後の正式配属で無残にも打ち砕かれ、予想だにしなかった営業部門に配属されました。しかし振り返ってみますと、会社の選択に当初は大いに悩み、自暴自棄になることもありましたが、このような中で、私は、国内はもちろん、グローバルカンパニーとして世界中に多くの友達を持つチャンスを与えてくださり、誠に充実した社会人生活を送ることができ、今となっては心から感謝をしている次第です。そのお客様との接点の中で、私は日本人でありながら日本の歴史を正確に理解していない、海外の識者の方が私よりも良く知っている、これは何とかしなければと時間の経過とともに深く考えるようになりました。2012年7月の誕生日には70歳を迎えるにあたり、新しいことに挑戦できる最後の機会と捉え、退職とともに本格的に歴史の勉強をすることに決意した次第です。
佛教大学を選択した理由
会社退職後、各地の各大学の資料、各大学のHP等を貪るように見ながら研究をしました。私の息子2人も京都で大学生活を過ごしており、彼らの中で京都に無性に魅かれるようになり、京都に絞って対象大学を研究しました。佛教大学の入学事前説明会に参加し、佛教大学関係者からの説明に自分なりにこれだと感動するところがあり、念願の歴史を専攻してみようと決めました。その場で、日本の中世史に焦点を絞っての研究をしようと決意しました。
学習のポイント
まず歴史学部の3回生に編入学したものの、履修科目の選択やスクーリング授業の選択、そして卒業論文への着手など学習計画の立案に当初は本当に悩みました。というよりは何処から取り組んだら良いのかわからず、一番勉強になったのは東京・大正大学で開かれた学習会で指導を受けたことです。その時のサジェスチョンを基に自分の計画を立案し、その上で京都に赴き、学習相談室の方に再度指導を受けました。このスタートに当たっての指導を受けたことがその後の進行に大きな力というか、礎になったことは間違いありません。自信をもって順序良く決めた科目のリポートを提出し、更に科目最終試験を受け順調に進行することができました。今、考えるに最初の方向付けとそれに邁進する自分なりの決意が極めて大事であると思いました。
自宅での孤独な学習
昨今はPCを使っての検索でいろんなことがある程度わかりますが、やはり専門知識を得るにはテキストはもちろんですが、専門書を物色し、それを手にして読み解くことが時間は掛かりますが一番の近道であると思います。私は地元の戸塚図書館、横浜市の中央図書館、鎌倉にあります鶴岡文庫、神奈川県立金沢文庫などで指導員に遠慮することなく探し物の相談をすることが大変良かったと思います。自宅での学習には間々孤独感に苛まれることがありますが、そのような兆候が出れば、なんとしても気分転換を図ることが肝要だと思います。私は思い切って旅行にでるとか、自然に接したことが大変良い効果を生むことができたと考えます。私はこの2年間で家内を伴って国内の温泉地などへ旅行、海外へも6回気ままな旅行をし、リフレッシュしたことが次の成長への変節点になったと考えています。
卒業論文の作成
卒業論文のテーマは漠然と鎌倉幕府関係と考えていましたが、担当の今堀太逸教授のご指導で進むべき方向と研究する課題に対して色々ご指導を得ることができました。面談をお願いしご指導を得るたびに目の前の霧がサーッと晴れるような気持ちになったことを鮮明に記憶しています。極めてご多忙の中、最後の一年間は何度となく面談をお願いし、方向付けをしていただいたことが、曲がりなりにも合格をいただけた賜物と考えています。やはりポイントは、横浜から京都までは距離がありますが、その時間と経費を考えながらも直接教授からご指導を得ることが卒業への一番の近道であることを実感しました。遠地の方はスクーリングなどで京都へ行かれる際に、面接の時間を設けられることを心がけるのが良いと考えます。
おわりに
自分で最初に決めたこととして2年間でなんとしても卒業するという信念のもと、単位取得にがむしゃらに取り組みました。スクーリング受講の最初の1年で目途を付け、単位取得も一部を除いて1年目にほとんど取得し、最後の1年は卒業論文に真正面から取り組むことができました。もちろん仕事を抱えながらの学習をされる方、子どもの養育をしながら学習されるなど色んな条件はあろうかと思われますが、自分で決めた信念に負けることなく計画通りに進行させる決意と覚悟がどうしても必要であると思います。
社会人を卒業し、私の最初のハードルは何とか突破できましたので、今後は学習したことを 一つ一つ復習しながら、新たな発見に喜びを見出して行こうと考えています。更に次の課題として、自分の歴史を一冊の本にまとめて後代に残し、またこの活動の中で自分の祖先をあらゆる手段を駆使して調べ、それを基に系譜を完成させたいと考えています。「亡裏の小閑は命より尊し」とか、この気持ちを大切に頑張っていこうと考えています。
~プロフィール~
2012年10月 佛教大学歴史学部歴史学科日本史コース3年次入学
2014年9月 同卒業
(佛大通信2015年11月号より)