通信教育クロストーク

2015年10月23日
学習体験記 歴史文化学科卒業生Y.Oさん

歴史学部 歴史文化学科 博物館学芸員資格課程 修了

 私は、今年で、還暦を迎えます。佛教大学という教育機関の器の大きさを、これを書きながらふつふつと感じ、またどのような年齢であっても、学びたいという希望があれば、大学という場に参加させてもらえたことに、喜びを感じております。
 さて、多くのサラリーマン諸氏の皆さんと同じく、定年を近くに感じ始める年になると、第二の社会活動のようなものを考え始めました。ボランティア活動に精を出すか、好きな趣味に没頭する日々を過ごそうか、家で内職しようか・・・・・・と。
 私は、自分が毎日楽しい時間を送れる、ミュージアムの中で、学芸員のような仕事がしてみたいと目標に定めました。この目標は、自分のために働くことですから、まったくもって苦痛はなく楽しいことなので、自然と気持ちに力が入りました。

 大学より送られてきた補助教材、『学習計画の立て方』・『履修要項』・『シラバス』・『学習のしおり』・『スクーリングのしおり』などをひととおり読み、自分の中に学ぶ姿勢のようなものを作っていこうとしました。しかしながらテキストを読むという時間を作り出すということは、これまたなかなか気持ちをそちらにもっていくことが、難しいことでありました。周囲に同じように学ぶ仲間がいないことは、意志の弱い私などには、ハードルが高かったように思われました。いわゆるモチベーションを持続することの困難さを実感しました。数カ月が、ダラダラと過ぎていきました。しかしながら正月が近づき始めた頃に、このままでは1年で修了することが物理的に無理だということが分かりました。
 そのために私は自分に縛りをかけることにしました。友人たちに大学に通っていると吹聴し始めました。「いゃーすごいな」・「年取ってからよくやるな」などと、友人たちはからかい半分、私の意気込みを認めてくれました。このことは私にプレッシャーになりました。人の目を気にし始めると、テキストを俄然よく読むようになりました。布団に入る時間を遅らせ、机に向かいました。

 リポート設題についてまとめていくことは、主に休日に行いました。平日はリポート設題の学習の留意点を読んでから、その留意点に沿うようにテキストを学習しました。平日の夜は、リポートを書く時間があまりなく、ある程度時間が確保された中でないと、3000字以上のリポートを書けなかったのです。やはり休日です。ゆったりと構えてリポートが作れました。私の気持ちの中で、休日は大学生になるという生活スタイルがいつのまにか確立されていきました。
 リポート提出後に、各担当の先生方より、添削指導評価の記録が、送付したリポートとともに返却されてきます。評点が良ければ、胸をなでおろすわけですが、再提出となるものもありました。私は美術史を再提出として評点を受けました。担当の大西先生より、欄外にはみ出る所見を書いていただきました。先生の求めておられる論文を読んでのリポートでなく、私は、単なる概説書を読んでのまとめだったようなのです。指摘を受けて、初めて自分の間違いに気づかされました。先生からは二つの論文が紹介されてきました。私はさっそく町の図書館に出かけ、その論文を取り寄せてもらいました。そして再度、提出をし、なんとか、合格点をいただいたような次第でした。落とされた時は、少々腹も立ったわけですが、今となっては先生に感謝する気持ちが強く、いい思い出になっております。
 自宅学習をするのは、一人なので、何かと疑問に思うことや分からないことがあると思います。私は質問票をよく送信させていただきました。大学からはすぐに返事があり、疑問点をクリアしながら通信教育を受けることができました。

 スクーリングは、同じ仲間と学生時代に帰ることが出来ました。毎日が楽しい時間でした。最終日の前夜は、コンパをしました。大いに食べ、そして飲んで京都の夜が過ぎていきました。

 現在私は、福井県小浜市の山川登美子記念館で働いております。念願のミュージアムに就職できたのは、何よりの喜びです。

   白珠の数珠屋町とはいづかたぞ
           中京こえて人に問はまし

 山川登美子には京都を歌ったものも、たくさんあります。その光景にいずれ会いに行こうと思っております。

   いくたびも胸に抱いて泣いただろう
           八畳薄闇「明星」百号

 歌人でもある職場の同僚の北野よしえさんの一首は、登美子記念館にある終焉の間を詠まれています。
 私は山川登美子に魅せられ、仕事をしておりますが、大学で学んだことも生かしたいとも思っております。通信教育課程で学ばせてもらったことに、感謝いっぱいです。

 

~プロフィール~
2013年10月       佛教大学歴史学部歴史文化学科 博物館学芸員取得課程入学
2014年9月         同修了

(佛大通信2015年7月号より)

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