通信教育クロストーク

2019年02月22日
学習体験記 中国学科卒業生(Y.Tさん)

文学部 中国学科 卒業生

 私が入学した2013年4月の入学当初は、常に不安を抱えていました。まず何をしたらよいか分からず、分からないことが分からない状態でした。もちろん、『学習のしおり』や『履修要項』に目を通したことで、朧げながらもこれから自分が身を投じる大学生活というものの輪郭は見えてはいましたが、明確な道筋や手順を見つけられずにいました。それを打破しようと臨んだ新入生オリエンテーションが、そうした最初の壁を越えられた出来事となりました。

 そこでは新入生はもちろん、受験や勉強のために訪れた多くの先輩方もおられ、「通信制の勉強は一人でしていくもの」という先入観があった私は、決して独りではないのだという安心感に包まれました。思うように履修が進まない時、つらい時、この瞬間も同じ気持ちで頑張っている仲間がいるんだという意識は、いま思えば、大学生活を通して支えられたモチベーションの一つであったように感じます。

 この時のオリエンテーションの後には、ちょうど学友会福岡支部主催の懇親会が企画されており、そこでたくさんの顔見知りができたことで、その後の学習室へ通うことがとても楽しくなりました。1年後には、私も学友会のメンバーに参加しました。

 断言できることは、もし卒業や修了のための最良の手段があるとすれば、まず友人を増やすことでしょう。同じ学部学科、年代、居住地が近い人など、何か共通点のある人と片っ端からつながることです。幸い現代にあっては、そのツールに事欠きません。ぜひ活用すべきです。

 横のつながりを持つメリットのもう一つは、情報です。とかく通信制は個々の裁量に委ねられているものが多く、その種類も試験や講義、実習など多岐にわたり、申込期限も限られています。さらに面倒なことに、踏むべき順序のあるものもあります。教員免許を取りに来られている方も多いと思いますが、たとえばポートフォリオ一つ出し忘れると、卒業・修了が1年延びてしまう恐れがあるわけです。

 学習室へ伺った際に学習サポーターの方にお尋ねしたり、大学へ電話して問い合わせたことも数え切れませんが、同じコースの人とのつながりは、普段の会話の中でそうした申込み忘れを未然に防ぐことにもつながり、着実に履修を進めていく助けになると思います。

ここからは少し、私自身の学生生活について触れさせていただこうと思います。私は文学部中国学科の学部本科生として入学し、高等学校書道の教員免許も取得しながら、目標としていた4年間で何とか卒業しました。

 入学直後より、「ひと月に最低、1科目提出」のノルマを課してテキスト履修を進める一方、1回生が履修できる共通科目のスクーリングを順調にこなし、自信をつけていきました。

 その自信が粉々に打ち砕かれたのが、専門科目のスクーリングでした。共通科目とは違い、私が在籍した中国学科の専門科目のスクーリングでは、授業で事前配布資料の中国語読み・和訳、時には漢文書き下しの発表が求められました。それまで中国語を一切知らなかった私は、文法構造はもちろん、中国独自の文字である簡体字にも戸惑い、その膨大な予習量に大きな挫折を経験しました。

 初めて資料を見た時は、何もできないままあっという間に数日が過ぎ去ってしまいましたが、知識が無ければ努力量でカバーするしかないと覚悟を決め、辞書を片手に連日連夜、奮闘しました。結局授業に間に合わず、京都にもノートパソコンを持ち込み、空き時間や滞在するホテルでも睡眠時間を削って準備をしました。

 しかしこうした困難は、精神力を鍛え、知識を深めるだけでなく、他の学生とコミュニケーションを深める助けにもなりました。多くの学友とも親しくなり、励まし合い、ともにその時々の苦境を乗り越えました。そうした経験と、自らを律しながら目標を達成しようとする力を得られたことが大きな自信となって、今の私を支えています。

 全体の履修計画については、はじめに想像していたものより大幅な前倒しを余儀なくされました。初回提出科目が単位認定可能となる一番遅いタイミングは前期生で卒業・修了年度の11月、後期生は5月になろうかと思います。私は当初、4年(48カ月)で割っていましたが、履修を進めていくにあたって少しずつ計画の甘さに直面していきました。教職科目の単位数を間違えていたり、教育実習判定科目の期限などもあって、常に〆切までの調整をしながらいたたまれない気持ちで履修を進めていきました。

 また、スクーリングの時期などは準備や授業、リポートなどに追われて計画通りに進まず、加えて病気などにより提出できないこともありました。教職科目をとる学生は、教育実習もあります。学部本科生は、卒業論文もあるでしょう。とにかく、想定していたよりも履修にかけられる時間が足りていなかったという印象がとても強く残っています。

 全容を把握できてきた3回生以降は、ある程度の計画前倒しや、保険的に学習済みの科目を備えておくなどの方法を駆使して、辛くもノルマを維持しながらようやく卒業へとたどり着きました。

 そういうわけで、私の経験から助言できることは「友だちを作る」ということです。私自身、流されるままに意図せず学友会に入り、多くの学友の方と親睦を深め、卒業した今でも日本全国に連絡を取り合う友人ができましたが、そのすべての始まりはあの、新入生オリエンテーションに参加できたことでした。

 光栄にも、卒業式では謝辞の機会をいただきました。その中で触れたことに、「諦めないこと」がありますが、これを支えてくれたのが家族や友人、そしてともに学んでいる学友の存在でした。皆さんお忙しいことと拝察しますが、ぜひ大学や学友会のイベントには積極的に足を運ばれることをおすすめします。皆さんが所期の目的を達成されますよう、心よりお祈りしています。

~プロフィール~
2013年4月 文学部中国学科1年次入学
2017年3月 同卒業

(佛大通信2019年1月号より)

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