通信教育クロストーク

2019年02月13日
学習体験記 歴史学科卒業生(K.Sさん)

歴史学部 歴史学科 日本史コース 卒業生

1.佛教大学入学当初の思い出

 私は、大学時代(1970~74年)に日本古代史を学びましたが、その後会社勤務を経て、2015年に再度歴史を学びたく、佛教大学歴史学部歴史学科日本史コース3年次に編入学いたしました。

 当初は、指定図書を読み課題に対するリポート提出、科目最終試験に合格すれば単位取得という通信教育のシステムになかなかなじめませんでした。分からないことを学ぶために学生になった自分が、先生方の指導も受けられずに一人で学ぶことへの不安・不満、通学課程に行くべきだったのではと悔やんだことが思い出されます。

 しかし悔やんでいても仕方がありません。指定図書を読み、更に参考文献を調べながら、リポートにまとめるという作業を、月一科目のペースで進めました。提出したリポートは本の要約程度の域を出ませんでしたので採点は推してしかるべきでした。

2.スクーリングで得たこと

 夏期スクーリングがやってきました。無謀にも、8月2日~12日(9日は休講日)の10日間を申し込みました。

 事前配付資料の予習が大変でしたが、本番はもっと大変かつ刺激的でした。朝から晩まで講義詰め、終了後は図書館で翌日の予習や提出リポートの為の文献探し、この繰り返しの日々。本当に疲れましたが、先生方の講義を聴くうちに、学生は教えてもらうものだという自分の考えの甘さに我ながらがっくりもきました。

 特に印象に残った講義は、佐藤文子先生の京都学入門(京都の葬送従事者の変遷や疱瘡神まつりなどについて、論文を使っての講義)や渡邊忠司先生の日本近世史料講読(『地方凡例録』を通して百姓と領主との関係、検地とは何かを理解していく)などです。今では当たり前と思われている事柄でもそれを鵜呑みにせずに、なぜそうなったのかと疑問を持ち、関連する文献資料を探り謙虚にそれと向き合うなどして掘り下げていけば、そこに至るまでの様々な歴史の積重ねが浮かび上がってくる。それが、学問に向かう心構えであると自分なりに理解しました。また、古文書読解を学びたかったのが私の入学の動機の一つでもあったので、冬期スクーリングの貝英幸先生の古文書講読2(北野神社文書解読、古文書の基礎知識他)はとても楽しい講義でした。

 スクーリングでのもう一つの悦びは、職業・経歴・年代は違うが同じように学んでいる仲間ができたことです。彼らとは、その後もスクーリング時期には必ず逢うようになり、リポートの書き方、科目最終試験の狙い目、卒業論文の進展状況など様々なことを話すことができました。自分が学生であると認識できた瞬間でした。

 スクーリングは、大学に入ったことの楽しさや、「学問をする」ということがどのようなことかを教えてくれました。

3.卒業論文作成

 私の卒業論文テーマは、16世紀前半の丹後国支配についてです。きっかけは古文書です。吉川弘文館『演習古文書選 古代・中世編』に丹後国倉橋郷小野寺隠岐守知行に関する将軍御教書・管領施行状・守護遵行状・守護代遵行状の4点セットが掲載されています。これ自体もとても貴重ですが、私の興味は出羽雄勝郡在住地頭小野寺氏が丹後に知行所を持ち将軍代替ごとに安堵されていたことでした。これを調べるうちに、興味の対象が丹後国の支配体制そのものに替わり、応仁・文明の乱以後、台頭してきた守護代延永氏・有力国人石川氏や伊賀氏らによる丹後支配実態解明を卒業論文のテーマに選びました。

 京都の北、日本海に面する丹後国(現在の舞鶴・宮津・久美浜地域)の支配者は、幕府有力者であった守護一色義直の死と共に守護代以下に代わりました。その支配実態を解明しようとしたのですが、義直死後の丹後に対し中央の関心は薄れ、また戦国末期に長岡氏に統一されたこともあり、16世紀丹後に関する史料はほとんど残っていません。一色氏・丹後をキーワードに関連史料を集めましたが、15世紀以前や長岡氏の侵攻以後のものが殆どで当該期の日記等文献に記載がない中、役だったのが自治体史でした。

 宮津市史・福井県史・三重県史などに掲載された地域寺社古文書・奉納棟札銘・過去帳等、とりわけ伊勢御師が自分の檀家名を記載した『御檀家帳』が自分の卒業論文を完成させてくれました(これらは佛教大学図書館で閲覧できます)。ここに記載された支配者層及び国人・一般武士層や地下人を地域・職業・身分別に分類。縁戚関係や主従関係を含めた相関図や身分図を作成し、当該期前後の古文書に残る人名との関係をチェック。それらを地図上に落とし込む等によって表れる微妙な勢力関係図等から支配の実態を探り出すという作業を繰返した末に草稿提出に至りましたが、指導教授から様々な指摘を受け、内容を大幅に改訂し卒業論文提出にこぎつけました。

 自信をもって提出した卒業論文でしたが、口頭試問時、先生方からの質問に回答しているうちに、この内容はもう少し深掘すべきであったとかここははっきり主張すべきだったとか色々考えさせられ、再度卒業論文を提出したい気持ちにもなりました。幸い卒業することができましたが、もう少しいい論文に仕上げたいという思いは今も残っており、なんとか再チャレンジできればと思っています。

 史料調査は(自分にとって)未知なものを探していく旅であり、様々な史料を読み、事象を確認する作業を通して卒業論文が仕上がっていく過程はとてもエキサイティングです。皆さんも是非経験してください。

~プロフィール~
1951年生まれ
1974年3月国立高知大学文理学部文学科史学専攻卒業
2015年4月 佛教大学歴史学部歴史学科日本史コース3年次編入学
2017年9月 同卒業

(佛大通信2018年12月号より)

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