通信教育クロストーク

2018年10月05日
学習体験記 現代社会学科卒業生(M.Y.さん)

社会学部現代社会学科卒業生

はじめに

 社会福祉法人に就職し30数年。学童保育・保育所・高齢者デイサービス・特別養護老人ホーム・隣保事業…そして現在学童保育を主に3つの仕事を掛け持ちしています。福祉の仕事に就きながら、当施設が加盟しています「大阪市地域福祉施設協議会」(旧セッツルメント研究協議会)で「セツルメント研究会」「地域の障がい児・者研究会」個人的に「社会問題研究会」の3つの研究活動を企画運営しています。その活動の中でこれまでに、「利用者が望む施設と施設職員の関係の調査」「施設利用者の施設を利用していないときの過ごし方、近隣との関わりの調査」「子どもたちの放課後の実態調査」「障がいのある小中学生の放課後長期休暇期間の実態調査」「地域福祉施設職員の実態調査」5つの大規模な調査を行い、様々な場所で調査研究したことを発表し、議論を深めてきました。しかし、いつもその内容が自分の意識や思いだけの言葉を具現化するような稚拙な文章に至ってしまい、調査研究の力を高めたい、誰でも理解してもらえる言葉を学びたいという理由で、佛教大学の通信教育課程の門をくぐりました。

甘かった私

 いざふたを開けてみると…送られてきた様々な分厚い説明テキスト、スクーリング、履修科目、何が何だか全くわからないまま、何もしなくて半年が過ぎました。

 自分のリテラシー力のなさ、「他のみんなはこの文章だけで分かっているのだろうか?」不安の毎日を過ごしながら、「そうや大学に直接聞いて教えてもらおう!」ようやく動き出しました。しかし電話は昼の休憩中の繋がらない、仕事をしている人はどんな風に情報を集めているんや…分からないまま、とりあえずスクーリングで大学に向かい、近くに座っている人たちに聞き込みを開始。全く知らないことだらけ、途中編入3回生やったらもうすぐ卒業論文も動かなあかん。夏休みにもスクーリングあるけど、夏休みのキャンプや行事で一番忙しい。これは無理や、私が甘かった、辞めるしかない…同僚や家族に相談すると、同僚は「スクーリングに行ってください、仕事の方はボランティア・OB で賄います」家族は「ゆっくりでいいからやめない方向で考えていこう」なみだ涙の物語です。

 そこから学びたかった科目の本をしこたま読み、リポートを書き、そして試験に向かうことをひと月一度のペースで進めていき、ようやく単位が履修されていきました。あとはスクーリングです。夏休みが忙しい私には、夏のスクーリングが一番のネックでした。しかしそこもようやくクリアして、後は卒業論文だけというところまでこぎつけました。

 大学に通うことは本当に楽しかった。知らないことを知る喜びや、自分の知識が他の人にどう伝わるのか。リポートを書くために読まなければならない本、興味がある本ばかりで本当に面白く、興味がないと敬遠していた本も、読んでみると自分の得意とする分野に何かしら関わっていることが分かりました。また、論文を書くために様々な考えの人、自分の価値観と違う方と出会ったことは、自分の中で一番の喜びでした。「私は、愛の反意語は無関心だと考えています」「吉田さんが言っている意味は分からんでもないが、根拠がないのでは」一握りの文章だけですが、周りの方に肯定的に否定されたことは、自分にとって本当に新鮮でした。また他の学生の学業への取り組む姿勢や、遠い所から泊まりがけで通っている方のファイトは、私にたくさんのやる気を引き出してくださいました。

新しい出会い

 今回の私の中で大学での一番の功績は、論文の指導にあたって頂いた、近藤先生との出会いです。論文を一度提出してからは、メールでの意見交換やアドバイスという手段で関わらせて頂き、一度もお顔を拝見したこともありません(今現在も)。しかし、先生から頂く、対等な人格的交流の基本を身につけている近藤先生の文章は(生意気な言葉ですいません)アドバイスもすっと私の中に入り知識として存在していきました。

 話は全く飛ぶのですが、平成29年度の私のテーマは「人権と平和」です。上記に書いた研究会でも様々なスピーカーを招き入れ、色んな感覚の方に話をして頂き、たくさんの方と議論を深めました。その中でも「人権」という言葉をいかにわかりやすく人に伝えるのか?また、人権とは何だろうか…?学べば学ぶほど袋小路から脱出出来ないとき、卒業しているにも拘わらず、近藤先生にアドバイスを仰ぎました。アドバイスを頂き、本も紹介していただき、その本を読み(難しすぎて全く理解できない本もありましたが)また新しく「自立」や「自由」について考えるきっかけを頂きました。その成果を、平成30年2月大阪で開催しました「全国地域福祉施設研修会」の一つの分科会で発揮することができました。

みなさんへ

 通信生の方は生きる作業も必要で、大変だし様々な課題が本当に難しいと思います。頼れる人が居ない方、本を読んでも分からない方、リポートも書いたことが無い方は、学びなど苦しい事ばかりだと思います。お金もかかるし仕事もしなければならない中、本当に前進するのが難しいのがこの通信教育課程ではないかと思います。私は働きながら学びに行ったのが、4回目の挑戦でした。でも学ぶことがこんなに楽しく感じられたのは初めてです。そこには自分で学び先に進みたいという思いが大きかったのではないかと考えています。

 夜の21時まであいている無料の学童保育を開きたい!あそびを心理学的に社会学的に精神学的に深め広げていきたい!社会の仕組みの中で追いやられ困っている人の存在をみんながわかる言葉で伝え、社会を変えていきたい!今の私の目標です。また私の現場で大切にしている言葉は、感性と創造力です。感性は学ばなければ錆びていきます。その感性を磨くためにも学びたいという気持ちは大きくありました。

 今焦らずとも必ず学びと向き合い学びたいと思える日がきっとやってくると思います。その日までにたくさんの人と関わり、たくさんの本と出会って欲しいと思います。ゆっくりと学びたい気持ちを育みながら…

~プロフィール~
2014年10月  佛教大学社会学部現代社会学科3年次編入学
2017年 3月 同卒業

(佛大通信2018年4月号より)

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