社会人が小学校の先生を目指すにあたり知っておきたい基礎知識
社会人になって改めて、小学…
仏教学部 仏教学科 卒業生
1.きっかけ
大学で学ぼうとするには人それぞれの理由、目的があることと思います。私自身は定年後、「仏教とは何か」を学ぼうと思って、通信教育の合同入学説明会に参加して佛教大学と出会いました。もちろん京都というのも魅力でした。かなりラフな生涯学習をめざすということで、必ずしも卒業を目的としていたわけではありません。
2.佛教大学での学び
まず大きな思い違いがありました。スクーリングが東京や大阪でも実施されるだろうと勝手に思い込んでいたところ、ほとんどが大学で行われるために日程のやりくりに苦労しました。とくに、思わぬことから再就職が決まったため、1年目の夏期は参加できず、1年遅れの夏期スクーリングでは何人もの先生方から卒業論文についてのアドバイスがありましたので、やはり順序よく履修し、じっくり卒業論文の準備を進めるべきでありました。
テキスト履修では課題の趣旨が理解できていないというコメントをいただいたことがありました。学習がある程度進むと見えてくるのでしょうが、はじめのうちは用語の理解も不十分で、このようなことも起こりえるかと思います。
スクーリング履修については先生の話をよく聴いて、とにかくキーワードをはずさないようにとこころがけました。ただ、リポートの提出期限が短いので時間との勝負ということにもなります。またスクーリングではさまざまな方たちと出会い、私の場合には比較的同年代の方が多かったのですが、いろいろな情報を交換することができました。松永先生に引率していただいて、クラスみんなで宗教文化ミュージアムに行ったり、たまたま宿が同じだった方と上七軒の夏祭り?でビールを傾けたことも楽しい思い出となりました。
3.卒業論文をめぐって
やはり一番苦労したのは卒業論文で、3年次編入学で2年間で卒業しようとすると入学した年の9月にはスタートしなければなりません。具体的なテーマ、関心をもって入学した方にはそのようなことはないのでしょうが、いざ仏教について学習を始めてみると、いろいろなことに興味が湧いて、テーマがなかなか決められません。仏教はどのようにして興ったのか、釈尊は何を説こうとしたのか、大乗仏教とは何か、仏教がどのようにして中国に受け入れられ、なぜ大乗仏教が普及したのか等々、趣くままに大学図書館の本を読んでいきました。それはそれでかなり面白かったのですが、なにせ仏教は奥深くかつ広大でどんどん拡散していくばかりで、やはりひとくぎりが必要と考えるようになりました。周囲にも論文テーマについて悩んでいた人はたくさんおられたように思います。
最終的には、大乗仏教興起論にも心引かれつつ、中世中国語の勉強のつもりで中国士大夫の仏教受容を選びました。具体的テーマのきっかけは本学の教授でいらした牧田諦亮先生編の『弘明集研究』をわからないなりにも読んだことによります。学問の系譜みたいなこともちょっと意識しました。
苦労したのは原典の読みと解釈で、先行研究と仏教漢文の解説書とを繰り返し当たりながらなんとか論旨を組み立てていくという作業でした。先人たちが偉大すぎて独創性は望むべくもありませんでしたが、私自身にとっては大いに勉強になり、取り組んでよかったと思っています。実際にはなかなか思い通りにはならず、一人で悩むよりは指導教員のご指導を仰いだほうが近道だと、自分でも不十分とは思いつつ、草稿を提出し、期限ぎりぎりに清書許可をいただくことができました。
論文に関してはひとりで悩まずにテーマ選定の段階から早めに先生方に相談すること、草稿も完成度に不安があっても早めに指導教員にご指導を仰ぐこと、そして不服でも自分の力量にあったものに押さえ込むことではないかと思います。誤字脱字や論旨もあやふやな論文に眼を通される先生方には申し訳ありませんが、学生の立場からするとそのほうが良策だと思います。
最後に論文の口頭試問があり、かなり緊張して臨みました。齊藤先生、稲岡先生のご指導ご意見いちいちごもっともで、あらためて自分の未熟さ至らなさを思い知らされましたが、論文作成にあたって学んだ知識や考えの範囲で答えるしかありませんでした。冷や汗の連続でしたがなぜか無事に通り、振り返ってみれば案じるより生むが易しというところでした。遠慮や自分を過小評価せずに前に進んでみるという姿勢で臨めば、おのずからというか先生方が道を開いてくださると考えたほうが良いと思います。学問とはそういうことなのではないでしょうか。
4.おわりに
以上のごとくにして、3年かかりましたが何とか卒業することができました。これもひとえにご指導いただいた稲岡先生、松田先生はじめ諸先生方また事務局の皆様のおかげであると感謝しています。
さて卒業後、まだまだ知りたいことはたくさんあって、機会があれば大学に戻りたいと思いつつ、今は東方学院で勉強を続けています。痛切に感じることは佛教大学図書館のありがたさです。蔵書も充実していますし、通信生には送本貸出があるのでとても助かりました。ぜひ有効に利用されることをお勧めします。
~プロフィール~
2012年4月 仏教学部仏教学科3年次編入学
2015年3月 同卒業
(佛大通信2016年7月号より)