社会人が小学校の先生を目指すにあたり知っておきたい基礎知識
社会人になって改めて、小学…
社会学部 社会福祉学科 卒業生
2016年3月、社会福祉士国家試験に合格することができました。
私が社会学部社会福祉学科に入学したのは、2003年4月。卒業は10年後の2013年3月。国家試験合格までさらに3年。長い道のりでした。
私は短期大学を卒業して、地元の公立保育園で保育士として勤務していました。そのうちの数年間、「障害」児と言われる子どもたちを担当する機会に恵まれました。日々保育する中で、みんな同じ子どもなのに、「障害」児のお母さんたちだけが、こんなに幼いうちから将来のことを案じて落ち込んだり心配されていることを知り、なんだか不公平だな、と思っていました。
結婚し、退職して県外に行くことが決まっていた私は、短大で取得していた幼稚園教諭を基礎免許に、特別支援学校教諭の免許状を取りたいと考え、社会福祉学部に3年次編入学することにしました。まず驚いたのは、送られてきた補助教材やテキスト、書類の山。どこから手をつけてよいのかわからない状態で支部学習会主催のオリエンテーションに参加しました。
支部学習会は、科目最終試験日に同会場の別室で開催され、佛教大学卒業生である学習サポーターの先生方が相談にのってくださったり、学生同士交流できる場となっています。この時の先生のお話で、教育実習を見据えて早めに動かなければいけないということを知り、まずは教員免許状の取得に向けて学習を進めることにしました。ところがその時、社会福祉士という資格があることを知り、せっかくだから勉強してみようと、あまり深く考えずに履修申込みをしてしまい、「学部卒業」「特別支援学校教諭免許状」「社会福祉士国家試験受験資格取得」という3つの目標に向けての学習がスタートすることになりました。
このようにして始まった大学生活ですが、県内の多くの大学の図書館で、登録をすれば市民でも利用できることを知り、自分の学びたい学部や学科のある大学によく通いました。この制度には卒業までとても助けられました。
この頃はほぼ毎月数本ずつリポートを提出し、科目最終試験を受験しました。学割を使って旅行がてら隣県の試験を受けたり、憧れだった寝台列車に乗って東京まで行ったこともあります。当時、妹が京都の大学に通っていたので、夏には妹のアパートに住まわせてもらい、毎日スクーリングに通いました。教育実習も無事に終えて、自分でも順調に学習が進んでいると実感していました。入学から1年半が過ぎる頃妊娠しましたが、自宅の近所にある授産施設で社会福祉現場実習を快く受け入れてくださり、楽しく有意義な実習生活を送ることができました。大きなお腹を抱えてスクーリングにも行きました。
無事に子どもが生まれて、3年間の休学をしました。その後、復学をしましたが、生活は一変。子どもが起きている間は、世話や家事に追われて勉強どころではありません。子どもを寝かしつけてからと思っていても、昼間できなかった家事を片づけたり、疲れ切って一緒に寝てしまったりの毎日でした。その上、試験日である日曜日は、夫は仕事で他に子どもを預けられる当てもなく、全く履修が進まず、ほとほと困り果てて、支部学習会に相談に行きました。
先生方は親身になって話を聞いてくださり、「そうか~。どうしたらいいかねぇ。」と一緒に考え、また「ここまでがんばったんだから、退学するのはもったいないわよ。」と励ましてくださいました。何とか頑張ってみようと思った矢先、2人目を授かりました。そして出産を機にまた1年間休学。休学は4年間までという規定なので、これで使い果たしてしまいました。
再び復学したものの、幼い2人の子育てをしながら勉強など、時間的にも体力的にもとても余裕がなく、気がつけば年限退学が迫っており、私は焦り始めました。日数が経つと前回勉強したところまで戻るのにどうしても時間がかかるので、1日15分でも毎日テキストを開くと決めて、学習を進めることにしました。
しかし、やっとの思いでリポートを提出し、試験にむけて勉強していても、当日に子どもが熱を出して受験をあきらめたこともよくありました。あまりの悪天候で、子どもを連れての外出は無理があると断念したこともあります。
そんなある時、選択制の科目について早く卒業したい一心で、先生に「単位がとりやすいのはどの科目か」と相談しました。すると先生は「自分の勉強したい科目を選びなさい。勉強は楽しくなくっちゃ!」とおっしゃいました。私は、目が覚めた思いがしました。
保育士時代に出会った子どもたちや家族の生きづらさは、その子の「障害」が原因なのではなく、社会がそうさせていることと、自らが子どもを持つ親となり日々生活を送るなかで、これまでと違って、何かにつけて社会の壁を厚く高く感じることとが重なり、社会のシステムや福祉のあり方を、実感としてより深く学ぶことができたように思います。
下の子どもが3歳になった年、始発の新幹線に乗ってスクーリングに行きました。大きな荷物を抱えて学内の託児施設に我が子たちを預けに行くと、たくさんの仲間がいて、大学から子育て中の自分たちの学習を応援してもらっていることを感じ、有難く、安心して受講することができました。
卒業見込みが決まった年、国家試験を受験しましたが一歩及ばず不合格。3月末に大学から卒業証書が届いた時は、とても嬉しかったのですが、どことなく両手放しでは喜べない気持ちがあったのが正直なところです。しかしほどなくして3人目の子どもが生まれ、またその日の生活で精いっぱいの日々を送っていました。そして3年が経った今年再挑戦し、合格することができました。
ここに至るまで、とくに子どもたちには負担をかけたことも多かったと思いますが、社会人になっても母になっても、大学で学ぶことのできる幸せを感じました。そして私の住む地域から佛教大学は遠いですが、支部学習会はとても近い存在で、先生や学生の方々には大変お世話になりました。何をするにも決して要領の良くない私がなんとかやり遂げることができたのは、この大学だったからだと思っています。本当にありがとうございました。
~プロフィール~
2003年4月 佛教大学社会学部社会福祉学科3年次入学
(現:社会福祉学部社会福祉学科)
2013年3月 同卒業
(佛大通信2017年7月号より)