通信教育クロストーク

2016年01月29日
学習体験記 中国学科卒業生H.Kさん

文学部 中国学科 卒業生

入学の経緯

 私は某短期大学自動車工学科を卒業後、整備士を経てソフトウェア開発の仕事を長年してきましたが、日本語教師の道を模索する中、4年制大学卒業資格の必要性を感じていました。一方、中国語の勉強を独学ではじめ、中国語検定やHSKなどを受験していくなかで、中国語に関連した学部を意識するようになり、通信制大学として歴史と伝統のあるこの佛教大学の文学部中国学科にたどり着いたのでした。

最初の壁

 ところが届いたシラバスを見ると、当然のことながら語学に重きがあるのではなく、中国の文学・哲学や歴史が大半であり、しかも古典的な内容が多く…この時点で少し後悔しました。さらに、はじめて送られてきたSR授業の予習用教材を見たときに愕然としました。古典漢文白文を訓読して和訳という、内容的にもボリューム的にも「ウソでしょ?!絶対できるわけない、間に合わない、無理だ」と思い、辞めたくなったのを覚えています。もともと漢文など大嫌いでごまかし逃げながら高校を過ごして来たうえに、30年以上も見たこともないわけですから、参考書をじっくり見ながら取り組まないと進めようもないし時間もない。解釈も難しくスムーズに和訳できるような内容でもない。特に岡本先生の場合は、訓読と和訳の予習レジュメを初日授業開始時に提出しないとその時点で単位対象外だとか、かなり正確性も求められるだとかで、細かい訓読時の活用形や助字の違いによる和訳ニュアンスの違いへの配慮のみならず、背景まで調べてその根拠を元に解釈しないといけないのだろうなどとあれこれ考え出すと、もうどうにも進めようがないという気持ちになりました。「他の人はどうしてるんだろう、こんなの簡単なのかな」とか、焦りと不安と諦めとの交錯する中、「もうその日までの時間で、できる範囲で、間違っていても当たり前」と開き直るしかなく、1秒たりとも無駄にしてはいられないので、とにかく必死にどんどん進めることにして、なんとか形だけでも間に合わせることにしました。まるでプログラム開発の納期を守るために必死で過ごす時間のようでした。しかし誤解を恐れずに言うと、仕事とは違って、間違っていてもよいし、「各自の使える時間範囲での精一杯の質で予習をやり遂げSR授業に臨むしかないのだ」と思います。その岡本先生の言葉に「自分はこれだけ調べました、を示す感じで」というのがあり、その気持ちで取り組むと、テキスト履修においても少し気が楽に進めやすく、むしろいろいろな参考文献を探して、自分の後ろ盾となる引用したい箇所を見つけるのがうれしくなりました。

 SR授業をいくつか受け、テキスト履修も進めていくと、背景知識も増えていき、それぞれの科目内容との関連性も出てくるようになって、はかどりやすくなっていく面も感じられました。私はテキスト履修を早めの段階で進められませんでしたが、後回しにしないでむしろ先行的に取り組むことがSR授業にも有効だと思います。

卒業論文

 卒業論文の開始は早く、3年次編入学してまだ半年という、テキスト履修もろくに手付かずで、SR履修に追われた夏が過ぎた9月には、右も左もわからないまま、仮でも卒業論文のテーマを提出しなければなりません。私の場合は、中国文学に関するテーマを考えられるだけの知識も自信もないことから、中国語について声調変化的現象をテーマに三音節語句の波形図をとって傾向を分析・考察するという、やや理系的な内容となりました。本来なら中国文学に関してもっといろいろな着眼点を見いだせたかもしれません。テキスト履修を早めの段階で進めながら、多くの参考文献に触れておくことが、論文テーマの選定のヒントにもつながるものと思われます。

おわりに

 基本的に通信制大学は孤独な戦いです。私は友達を作ることがうまい方ではありません。入学してすぐの説明会で「せっかく多くの人が集まる機会だから、近くの席の人と連絡先交換するとか何か得て帰ってはいかがでしょうか」とのお話も出たのですが、やはり私は勇気が出ずに何もできずに帰りました。その後も毎月の『佛大通信』に“学友会”の案内が入っているのを目にしては行こうと思うも、結局一回も参加できず仕舞いでした。そんな私が卒業までこぎつけることができたのは、最初のSR授業の時に、やたらといろいろな人と顔見知りそうな朗らかな同年代の人が目にとまり、その人と早い段階で友達になれたことが大きかったと思います。ある時、早めに教室に行くと、たまたまその人だけが教室にいたので、勇気を振り絞って近づいて話しかけてみると快く応じてくださり、聞けば私と同系列の日本語教師用のスクールに通っていたなど共通点もあって意気投合できたのです。そのおかげで少し吹っ切れ、他の人とも友達になれました。孤独な戦いに違いありませんが、孤独でない気持ちを持てるようになったことが何より一番大きかったと思います。

 今は、これまでの経験と、佛教大学で学んだことや中国語や日本語教師の知識も活かしながら、主に中国人へプログラミング研修しています。が、まだまだ未熟な私ですので、今後も日々精進です。

 

~プロフィール~
2013年3月 中国語検定3級合格
2013年4月 佛教大学文学部中国学科3年次編入学
2013年6月 新HSK4級合格
2014年10月 日本語教育能力検定合格
2015年3月 佛教大学文学部中国学科卒業

(佛大通信2016年2月号より)

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