通信教育クロストーク

2019年03月09日
月岡卓也研究室(教育学科)

「学びのサプリ」
教育学部 教育学科 准教授 月岡 卓也(つきおか たくや)


大好きな数学と物理を学びたい 将来を決めた、受験参考書

 僕は小さい頃から算数や数学、物理が好きで、さて大学はどちらに進もうかと考えていた高校時代、『物理入門』という本に出合いました。当時、物理は数学に寄ってはいるけれども、物理は物理、数学は数学ととらえるのが一般的でした。けれども、その1冊は数学を使って物理を説く参考書だったのです。「面白いなぁ」と思ったその時の気持ちが、僕の進路を決めました。

 物理と言えば実験も重要なのですが、僕はそちらではなく、ずっと数学寄りの方向に進んできました。計算した通りに物事が動くことを知って、また、新しい数学を使うと物事はこのように理解できる、ということを知って、世の中の見方が変わりました。例えば、花を見て、「きれいだ、可愛い」と表現した後で、「なぜこの色に見えるのか」「なぜこの形なのか」を物理の基礎言語である数学を使って理解しようと思うわけです。そんな風に数学的な言葉で語れるようになると文字通り世界が広がります。異なる言語を使う外国の人たちとも、数式で議論ができるのですから。

4カ国5カ所の研究所で互いを高め合った14

 博士号を取ってから、14年にわたって世界各地で研究員として過ごしました。その頃の習慣に従って、応募書類を書き、各国の研究所に郵送しました。「来ても良い」という返事と飛行機のチケットをくれた研究所に赴くわけです。最初の国はアイルランド。僕みたいな身分の研究者が4~5人いて共同研究をしていました。元々、ワイワイと議論するのが好きだったので、フレンドリーな外国人とは気が合いました。はじめのうちは言葉が通じなくてお互いにもどかしい思いをすることもありましたが、僕たちは数式で議論することができましたから、慣れないこともありましたが、特段辛いと思うこともなく研究に没頭することができました。セミナーなどにも参加するうち、「次はうちの国に来ないか」と招いてもらうことの積み重ね。武者修行みたいな感覚で過ごした14年間でした。

 研究員時代は大学院生の質問を受けることも良くありました。そんな時もみんなで賑やかに議論するのですが、これが楽しくて…。教えることも研究の一部でした。その延長線上が今。数学の研究者がなぜ教育学部とよく不思議がられますが、数学を手段にしてはいるけれども、人と関わり、人を育てていくという点において、自分の中では違和感はありません。

研究室を常に開放して学生たちと対等に

 大きな影響を受けたのは、指導教官だった河本昇先生(北海道大学名誉教授)です。研究の取り組み方、面白さ、すべて河本先生から教わりました。とにかく研究が好きな方で、学生にも分け隔てなく接し、僕たちのレベルまで降りてきて議論してくださいました。実は僕もそうありたいと思っているので、研究室の扉は常に開けています。モノもなるべく減らし、替わりに大きなテーブルと大きなホワイトボードを置いています。何人かが議論している横で、ひとりで勉強している学生がいたり、弁当を食べている学生がいたり。適当に放っておいて、自由に使わせています。

 今日は会議に出る前、学生たちに問題を出しました。トランプのスペードとダイヤ、エースから4までをスペードは順に、ダイヤは反対の順番にそれぞれ重ねて裏返す。スペードの山、ダイヤの山で、ランダムに上の1枚を下に回す行為を11回繰り返すと、それぞれの組の一番上のカードの数字が必ず同じになります。また、この同じカードを取り除いて残り3枚のカードの山で11回のシャッフルをしても一番上にある数字はまた同じになります。この現象を数式に表すこと。さらに、トランプの枚数を4枚ではなく5枚にしたら、何回のシャッフルで同じ数字になるかを考えるよう学生に伝え、会議に出席。戻ったら見事に解けていました。59回でしょ、って。

解説もよくできていたので大いに褒めました。

 大事なのは、自分で問題を正しく設定すること。そして、設定した問題から矛盾のない答えを得る、という達成感をぜひ味わってほしいと思っています。それは僕が物理や数学から学んだことでもあり、人生のどんな場面にも共通する本質だと思います。河本スクールをお手本としている研究室で、元気のある学生のみなさんをお待ちしています。

[経歴]
埼玉県出身。北海道大学大学院修了。博士(理学)。ダブリン高等研究所(アイルランド)研究員、ニールス・ボーア研究所(デンマーク)研究員、デモクリトス研究所(ギリシャ)研究員、アジア・太平洋理論物理学センター(韓国)研究員、基礎科学研究院(韓国)研究員を経て、2014 年より現職。

(佛大通信2019年2月号より)

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