通信教育クロストーク

2019年02月07日
小林隆研究室(教育学科)

「学びのサプリ」
教育学部 教育学科 准教授 小林 隆(こばやし たかし)


父の背中を見て育つ 同じ中学校教員を目指して

 父が中学校の数学科教員だったこともありますが、中学の担任が「小林君は先生に向いているね」と言ってくださったのが記憶に残り、将来は父と同じ数学か理科の教師になれたら良いと思っていました。当時、生徒会長をしていたのですが運動も得意で、テニスに没頭。高校は公立の進学校でしたがインターハイにも出場しました。実はあの松岡修造さんと同級で、一緒に入場行進したんですよ。最も彼はその頃から超有名選手でしたが(笑)。

 ところがテニス三昧の生活を送りすぎたせいで、勉強がおろそかになり大学受験に失敗。浪人生活を送るうち、人の心とか生き方に興味を持つようになり、自分は文系に向いているのかもと思うようになりました。翌年は教育学部や文学部を受験したのですがそれも全落ちで…。経済的にも二浪はできないとわかっていましたから、二次募集があった法学部を受けたところ合格。法学部で取得できる教員免許状は社会科だったのですが、自分としては流れでそうなったのかなと。教育系大学ではないので、教員採用試験などにも自学・自習でしたが、教員を目指す友人が多かったのは幸いでした。元々、歴史や旅行も好きだったので、興味関心を強く持ち、まじめに頑張りました。

現場から研究の道へ 厳しい指導を授けてくれた恩師たち

 大学卒業後は地元である静岡県で中学校の社会科教諭になりました。けれども、授業を進める技術や理論について学んだことがなかったので、自身が受けてきた授業の再生産か他の教員の見よう見まねしかできない。教え子たちは「先生の授業は面白かった、よく分かった」と言ってくれましたが、自分としては限界を感じていました。4年経った時、校長に不安に思っていること、学習のメカニズムなどの理論を学びたいと相談。2年間、新構想大学のひとつである兵庫教育大学に内地留学してみっちり研究し、また教員に戻るという、願ってもないコースに進ませていだきました。

 兵庫教育大学では、本学教育学科のキーワードでもある「理論と実践の往還」の重要性を学びました。私はそれまで経験則だけでやって来て、研究の「け」の字もわかっていませんでした。問題意識の重要性、先行研究の整理・分析、文献の探し方・読み方、研究の手法と論文の書き方などを厳しく指導していただきました。担当教授は中村哲教授。居合道をなされていて、別の意味でも迫力がある先生でした(笑)。

 当時の兵庫教育大学には、社会系教科教育の研究をされていた岩田一彦教授もおられました。お二人は共に広島大学のご出身で、社会科教育学の草分け的存在である森分孝治先生の教え子です。中村先生は授業の事実を見てそこから理論作りをされ、一般化・法則化するタイプ。一方、岩田先生は一つの理論を掲げ、検証しながら授業を作っていくタイプ。“フロムとフォー”、アプローチが異なる先生方の教えを乞うことができました。

求められる構成主義的授業 論理と心理をバランスよく

 教壇に戻って5年が経った頃、現場経験のある教員を求めておられた本学にご縁を頂きました。大規模校で生徒指導主事をしながら教壇に立っていた当時の私は、生活安全課や児童相談所、裁判所調査官などと向き合うことも多くて。学校に馴染めない子どもたちのサポートにはやりがいを感じていましたが、一方で教員を目指す学生にも現場経験を伝えたいと思っていたため、お話を受けました。

 社会科教育学の研究には、歴史・外国・理論研究の他に、社会諸科学の成果や提唱された理論を組み込んだ授業の開発研究や授業記録、子どもの発言や成果物などのエビデンスに基づく実証および解明研究などがあります。加えて、これらの研究には、社会認識形成の「論理」によるものと「心理」によるものがあります。「指導と評価の一体化」を目指し、社会科授業の開発・改善を進めるためにはその両方のバランスが大切です。けれども実際は、論理に基づく授業の「開発研究」が主流であり、心理に基づく「実証研究・解明研究」は蓄積が少ないのが現状です。

 このような状況において、認知心理学の成果を取り入れた社会認識形成の解明研究は、昨今求められている「主体的・対話的で深い学び」、社会科の原点ともいえる構成主義的な授業の構築、社会科教育学の深化・発展においても非常に意義があると考えています。また、協同学習に基づく社会認識形成にも興味を持っています。

[経歴]
静岡県出身。1991~2001年、静岡県浜松市立中学校社会科教諭。1995~96年、兵庫教育大学大学院学校教育研究科 教科・領域教育専攻社会系コース修了。2002年より、佛教大学教育学部教育学科専任講師を経て、2007年より現職。2016年、兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士後期課程 教科教育実践学社会系連合講座単位取得満期退学。趣味はアウトドア、テニス、登山、サイクリング、ダイビング、スポーツ観戦、立ち飲み巡り。よく読む本は、山本七平・水上勉・新田次郎・椎名誠・東海林さだお・太田和彦。

(佛大通信2018年11月号より)

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