通信教育クロストーク

2019年02月04日
学習体験記 社会福祉学科卒業生(M.Tさん)

社会福祉学部 社会福祉学科 卒業生

佛教大学入学まで(問題意識)

 2000年から留学生への日本語教育に携わってきました。日本語を指導し、巣立っていく留学生を多く見送りました。10年余り経ったときふと頭をかすめました。「日本語は上手になったが、もし彼らの恋人や家族を本国から呼び寄せ日本で生活するとしたら?」「日本に呼び寄せた老親は、無事に最期を迎えられるだろうか。そして呼び寄せた当の外国人も高齢者になる。どのようなケアを求めるのだろう?」

 そのとき初めて留学生を学習者ではなく生活者として認識しました。そして生活者としての外国人への支援について学べないだろうか、という思いがきっかけで福祉に興味をもち、佛教大学とのご縁に至りました。

「学習≠目的」と「学習=目的」(学習との向き合い方)

 在学されている皆さんは、何かの目的があって学習されていることと思います。しかし中には、「学習≠目的」の方もいるかもしれません。資格取得の方などは、何かその先につながるステップとして学習を捉えているかと思います。この捉え方は、やる気が出る可能性はありますが、目の前の学習そのものは辛く映るかもしれません。

 目的自体は逃げないので、いったん目線を目的から学習内容そのものに移した方が得策です。と言うのも、内容そのものに興味を持てば、「知っている世界が広がる」「新しい考え方が得られる」という経験を通じて新鮮な感覚で見つめ直せる楽しみがあるので、学習自体が苦にならなくなるからです。なにより「身につきます」。ですから暫定的に「学習=目的」として損はありません。これが可能な学習法は、「目の前のことに自問しながら自分に引きつける」ことです。

履修の順とテキスト

 卒業さらには社会福祉士受験資格を満たす上で多くの科目が開講されており、どれから手を付けて良いのか迷ってしまいます。私は社会福祉の実務経験がゼロでしたので、全くの門外漢でした。そこで「必修科目→選択科目」の順に着手しました。結果的にこの順が良かったと思います。というのも、前述した「目の前のことに自問しながら自分に引きつける」学習が確立しやすい順だったからです。

 この順は佛教大学オリジナルの通信教育向けテキストから着手できることを意味します。佛教大学社会福祉学部の独自テキストは、著者が学習者に伝えたい「考え方」を絞り込み、そして広範に及ぶ科目内容を、その絞り込まれた伝えたいことに巧みに引きつけながら一冊の教科書にまとめ上げています。つまり、その「考え方」が視点として大切であると学習者に説明する部分、それを支持する具体的な例・データの部分、その「考え方」に基づいて現行制度の具体的な改善点や展望を述べるなどの提言とシミュレーションの部分として再構成されて、一見雑多な学習事項が有機的全体像となって現れてくるからです。このように学習者に語りかけてくるよう練られたテキストは、秀逸だと思います。これに触れられるだけでも佛教大学で学ぶ価値はあります。いっぽう一般の市販テキスト(資格試験養成講座など)の多くが、雑多な事項を百科事典的に網羅した様な印象が強く、事項の軽重や連関性が把握しにくいです。語りかけてくる教科書は、「考え方」(大切な思い、とも言えます)をはっきり打ち出しているから分かりやすいのです。そして語りかけてくるからこそ、自問しながら自分に引きつけて考えやすいのです。

 そこで読みにくい、わかりにくい、と思う教科書に取り組まねばならないときに心がけたのは、語りかけてくるような努力をこちらがする、ということでした。情報を羅列しているだけのような読みにくいテキストでも、「はしがき」や「はじめに」など冒頭の部分は必ず読んでください。そこに出版の経緯や章の順番など、著者の「思い」につながるヒントが述べられていることが多いです。そしてもうひとつ大切なのが、なぜ(例えば社会福祉を)学んでいるのか、というあなた自身の問題意識です(私なら先述の外国人支援に当たります)。もちろん、それまでに学習した科目で新たに得た問題意識なども大いに助けになります。

科目最終試験

 文章を暗記して、試験開始とともに暗記した文を答案に埋めていく、という方法を周囲の方は採用されていました。私は文章の暗記が苦手だったのと、部分的に忘れてしまい論理的な構成が破綻してしまうこと、新傾向の問題への対処が難しいこと、などの恐れから、答案の暗記はしませんでした。対策として、過去問の解答に必要となりそうな「考え方(論理)」「キーワード」をまとめ、それを覚えることに徹しました。そして試験会場で、試験冊子末尾のメモ余白に覚えたキーワードを論理の流れや比較対象の図式に沿って書き出し、それをみながらその場で答案用紙に説明していくスタイルで臨みました。その方が文章暗記より、忘れた箇所があっても論理が破綻しにくいと思ったからです。また採点時、キーワードの間違いや忘れよりも、文章としての論理や整合性が破綻している答案の方が、科目内容の理解を疑われて大幅減点されるだろうと恐れたからです。

 ちなみに小手先な技術ですが、論理構造を表す接続詞と微妙なニュアンスを伝える文末表現は、本(すくなくとも教科書)を参考に使える表現を増やしてください。

さいごに

 テキストを読み、そこで心に残った考え方についてリポート作成のチャンスを利用して課題に沿って再編し、リポート内容の周辺にあって、リポートで扱われなかった多くの知識と考え方を脳内に豊かに位置づけていく機会として科目最終試験を利用する。――このように一連の学習サイクルを捉えて臨みました。

 資格取得までの学習は時間もエネルギーも使います。しかしこの過程が「自己実現」に深く関わっているなら、他者の自己実現に向けた共感的理解や受容などに豊かな気づきが得られる機会ではないかとも思います。

~プロフィール~
2000年3月 日本語教育能力試験合格、同年より日本語教育に携わる
2013年10月 佛教大学社会福祉学部社会福祉学科3年次編入学
2017年9月 同卒業
2018年3月 社会福祉士国家試験合格

(佛大通信2018年11月号より)

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