通信教育クロストーク

2019年02月01日
本物の車好きたちが集い語り合う場。

KYOTO TIME TRAVEL
伝統をつなぐ・未来をつくる・京都をめぐる

京都府の北部、のどかな田園が広がる綾部市にクラシックカーファンの聖地、ヤマモト自動車はある。クラシックカー販売やレストア、パーツ販売はもとより、1万人が訪れるイベントなども開催する山本勝一社長を仏教学科の曽和義宏先生が訪ねた。

ヤマモト自動車
1975年、京都府綾部市に創業。欧州のクラシックカーを中心に、車検、修理、レストア、パーツ販売、整備、レーシングカーの製作などを行い、ただ乗るだけではない本当の車の魅力を伝えている。創業以来、口コミによる顧客は全国に広がり、その出会いから多くのつながりが生まれて「チームヤマモト」を結成。レースやツーリングを楽しんだり、クラシックカーフェスティバルなどのイベントを開催するなど、本当の車好き同士の交流を深めている。緑豊かな丘陵地にあるヤマモト自動車の修理工場。丁寧な修理で車の寿命を延ばし、オーナーの元へ返すのがミッションだ。

山本 勝一(やまもと かついち)
綾部市生まれ。車好きの父親の影響で幼い頃から車に興味をもつ。高校3年時にホンダの小型スポーツカーS600を購入。バイクも好きで、バイクを修理して販売した代金でオープンカーを買ったことが、現在の仕事の始まり。お客様を中心に愛好家クラブ「チームヤマモト」を結成し、クラシックカーフェスティバルやツーリング&ラリーなどを主催。レーサーとしてレースに参戦するなど、車中心の生活を楽しむ。

曽和 義宏(そわ よしひろ)
仏教学部仏教学科教授。
佛教大学文学部仏教学科卒業、佛教大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。研究テーマは中国仏教における仏身仏土論の展開。数多くある仏の分類整理、特に浄土教の信仰対象である阿弥陀仏の分類整理について関心を持つ。主な論文に『「三縁」の成立について』など多数。

カフェのような外観のヤマモト自動車社屋には、ピカピカに輝く1950~70年代の懐かしい車がズラリ。真夏の最中に愛車ローバーミニで訪れた曽和先生と山本社長は、即座に意気投合した。

車好きが高じて、気づけば仕事に

山本:おぉ、この車を乗り続けているとは、たいしたものです。苦労するんですよね。

曽和:はい、大学4年のときに買いましたから、もう26年になります。60年前に設計された車ですので、メンテナンスが大変ですね。

山本:僕たちも歳を取ってくると、あちこちが調子悪くなりますが、クラシックカーの場合は故障じゃなくて寿命なんですよね。その寿命を延ばしてやらないと乗り続けられない。特にローバーは、頑張っていただかないと(笑)。パーツも揃わなくなってきて、いろいろ苦労するのですが、楽しいですよね、あの車は。

曽和:はい、メンテの時間はなかなか取れないのですが、オイル交換ぐらいは自分でしています。

山本:その気持ちがないと、まず乗れないですよね。うちのガレージにも、木枠が付いたワゴンのようなオースチン・ミニ・カントリーマンがあります。何でも乗せられるし、子どもが小さい頃は便利でした。ところで、先生、今日はここに来るのも暑かったでしょう。

曽和:僕の車には、エアコンがついていないんです。

山本:そうですか、珍しいですね。付いているのが多いですよ。そうかぁ、僕もミニが好きでね、耐久レースに出ています。去年は5時間耐久で優勝しました。スプリントレースのように5時間も走るのが大変です。今年も走りますよ!スプリントレースなら15周ですが、それはそれで筑波や富士へ行きますから遠いですけどね。

曽和:かなり遠いですよね。そもそも、車の仕事をするようになったのは、どんなきっかけですか?

山本:親父が車好きで、ダイハツのミゼットとか丸ハンドルに乗っていた影響ですね。バイクも好きだったので、近所で壊れているのを見つけると、そこのおばちゃんに「ちょうだい」って言って、それを直して売って、ホンダS600を買ったり。思えば、それがはじまりかな。レースが好きだったから学校もサボって、鈴鹿へ行っていました。

曽和:えっ、ここから鈴鹿まで行っていたのですか。

山本:そうです。楽しかったなぁ。だから必然的にというか、知らない間に職業になったんですね。はじめた頃は、イギリスから車を輸入したらどんどん売れる時代で、安かったんですよ。いまは向こうで買うほうが高いです。特にレーシングカーは、数が少ないから高いのです。この前も岐阜でフェラーリのボロボロなのが出てきて、話題になりましたけど、億単位でした。国産のスカイライン系も値段が高くなりトヨタ2000GTは7000万円ぐらいします。ちょっとおかしいんです。

曽和:そうですよね。

山本:うちにも僕が27歳ぐらいの時から乗っていたSR311とか、懐かしい車も置いています。半分以上は売りました。僕もこの歳やし、そんなに全部は乗れないから、車のためには誰かに乗っていただかないと。

曽和:愛車がたくさんあるんですね。

山本:愛車は、レーシングカーを除いたら5台ぐらい。あと定期的に車検を受けている車もあります。パーツを探したり、それが楽しい。それに、アナログだから、エンジンスタートするときも五感を働かせてね。そこがまたいいんですよ。

ヤマモト自動車のお客様とは「チームヤマモト」を結成。車好きが集まって、どんな時間を楽しんでいるのだろう。

古くて壊れるから面白い

曽和:ツーリングにも行かれるんですよね。

山本:はい、去年は大間から竜飛岬まで回って来ました。仲間と古い車5台ぐらいで。上は72歳ですね。めちゃくちゃ楽しいですよ。途中でトラブルがあるとどうしようもないから、工具も全部積んで行っています。だいたい、どの車も弱い箇所はわかっていますから、それなりに用意して。たまにニューカーで近場へ行くんですけど、ぜんぜん楽しくない(笑)。車がどんどんよくなって壊れなくなると、面白くない。

曽和:ははは。いろんなタイプの人がいますよね。飾っておくのが好きな人と、乗るのが好きな人、いじるのが好きな人。

山本:乗るのが好きな人は、ボディがどんなに剥げていようと平気で、その代わり、走るために足回りからエンジン回りには何百万とかける人がいます。

曽和:扱っているのは、だいたいどの年代の車が多いのですか。

山本:1958年から60年後半が多くて、70年代までです。それを超えると、急にモデルが変わるんです。海外もそうです。60年代の国産車は、メーカーごとにデザインが全然違いましたが、それが最近ではなくなってきているでしょう。日本が元気だった頃で、僕らはドンピシャだから。いま、40代以下の人は車に乗る人が減って来て、免許を取る人も減ってきていますから。20代や30代でこうした車を乗る人はほぼいませんね。

曽和:そうですね。

山本:チームヤマモトというクラブを作っていますが、この間、18歳の子が入って、貴重な存在です。中学校の頃から自転車でうちに来てね、大きくなったら車を買いますと言っていて、高校卒業する頃にミニを買って、いま乗っています。「買います」という若い子はいるんですが、本当に買う人は一握りで。わかるんですけどね、ガレージ代から何からたいへんですから。

曽和:その18歳の子は、本当に貴重ですね。

ヤマモト自動車は、100台以上の車が一堂に集まるクラシックカーフェスティバルを32年間毎年開催。また、ツーリング&ラリーのイベントも、今年で9回目の開催となった。

人と出会い、一緒に楽しむ

曽和:ツーリング&ラリーとはどんなイベントですか。

山本:ウォークラリーのようなもので、A地点とB地点の間に問題を作って解答していくんです。丹後半島が多くて、200キロぐらい走ります。すぐ近くの綾部の交流プラザからスタートしますが、奥さんと一緒に来る方が多いですね。家族の理解がなければ、クラシックカーに乗り続けられませんから。ラリーは、その場にある看板とか標語とかから、問題を考えるんです。コースを考えるのも、またたいへんな作業です。でも当日参加者の楽しむ顔を見ているとやってよかったと思います。

曽和:イベントをするようになったのは、どうしてですか。

山本:最初は神宮外苑でクラシックカーフェスティバルを見て楽しかったからですね。関西方面では全然なかったから、楽しそうやなと思って、やろかって。続けるのはたいへんですが、たくさんの方々が各地から集まり地元が盛り上がるので、赤字覚悟で、トントンでやっています。たくさんの参加者やチームヤマモトのスタッフが協力してくれるからいいけど、人件費を入れたら完全に赤字。スタッフがいないとできないですね。クラシックカーは、持っているだけでは、そう楽しくはないんです。やっぱり、人と一緒に楽しむのがいいわけで。

曽和:えぇ、コレクターとは違いますからね。

山本:そう、でも一時期はそんな人も多かったですよ。うちは「関西随一気楽で気取らない底辺の和を広げたイベント」を合言葉にがんばっているんです。他のイベントへは敷居が高くて行けない人でも、山本さんのところは行けると思ってもらえるのがいい。このイベントに来られる参加者のオーナーやスタッフはアットホームなんです。

曽和:本当に好きな人というのは、そうですよね。今日は、いろいろな車も見せていただいて、ありがとうございました。

(佛大通信2018年10月号より)

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