佛教大学通信教育課程

通信教育クロストーク

2018年05月07日
子どもたちにクリスマスのワクワク感を。

KYOTO TIME TRAVEL
伝統をつなぐ・未来をつくる・京都をめぐる

御池通の地下に広がる「ゼスト御池」。京都では、京都駅前の「ポルタ」に次ぐ本格的な地下街である。ここで毎年、クリスマスの頃に繰り広げられる「ジングル★ウィーク」の主宰者であり、NPO法人ジングル★ウィーク代表である平山みきさんに、現代社会学科の大場吾郎先生が話を伺った。

平山 みき(ひらやま みき)
東京都大田区生まれ。1970年、「ビューティフル・ヨコハマ」でレコードデビュー。2作目の「真夏の出来事」が50万枚の大ヒットとなり、一躍人気歌手となる。現在も独特の歌声は変わらず、ライブやショーに出演中。また、京都在住で「滞在型観光客」と自身を呼ぶほどの京都愛好家。京都に関する著書やCDも発売するなど、京都発信の活動も続ける。

大場 吾郎(おおば ごろう)
社会学部現代社会学科教授。専門は映像メディア産業論、コンテンツビジネス論。慶應義塾大学文学部卒業後、日本テレビ放送網(株)勤務を経て、ミシガン州立大学大学院でM.A.、フロリダ大学大学院でPh.D.を取得。主な著書は『テレビ番組海外展開60年史』(2017年、人文書院)、『コンテンツビジネスの経営戦略』(2017年、中央経済社)、『韓国で日本のテレビ番組はどう見られているのか』(2012年、人文書院)など。

神社や仏閣の多い京都でクリスマスのイベントが行われているのは、ちょっとミスマッチだと感じる人もいることだろう。なぜ、クリスマスだったのだろうか。

「今の私にできること」からはじまる

大場:私はゼスト御池の近くに住んでいまして、最初に「ジングル★ウィーク」を見たときはびっくりしました。こういう場所でクリスマスのイベントをしているんだと、意外でした。

平山:そうですよね。きっかけは、東日本大震災でした。私は東京にいたのですが、営業やイベントを自粛しなければならなくなって。歌う仕事がなくなってしまったので、周囲にすすめられて京都に戻って来たのです。あのとき、寄付集めをしている仲間もいたし、被災地に行く人もいたし、そういう人を見ていて何かをしたいのだけれども、人の真似ではなくて、自分ができる何かをしようと思うと、それがクリスマスだったのです。

大場:そうだったんですね。

平山:私は、ずっと歌手になりたいと思っていて、その夢が叶ってデビューして、何の苦労もしないままに曲がヒットして、そのまま歌を歌うことが仕事になりました。それまではボランティアへの意識はあまりなかったのですが、子どもの頃からずっとクリスマスが大好きだったので、クリスマスで何かしようと思ったのです。

大場:それが、2011年のことですよね。

平山:ええ。それでまず、京都のアートプロデューサーの武智美保さんに相談したのです。「クリスマスのイベントをやりたい」と言ったら、一人ではできないことだからと、美保さんものってくださいました。そのあとで、京都でクリスマスはないんじゃないのって、よく聞くのですが私たち日本人にとっては、クリスマスは宗教行事じゃないんですよ。楽しむイベントとしてのクリスマスなので、まぁ、それはいいのじゃないかなと思っています。

大場:なぜ、ゼスト御池だったのでしょう。

平山:協力してくれる人たちと一緒に考えたのですが、12月は寒くて雨や雪も降るでしょう。私は、ドイツのクリスマスマーケットが好きで、よく行くのですが、お店がいっぱい並んでいて、屋内で販売などをするから雨や雪が降ってもいいんです。でも、京都で雨をしのげるところといったら、地下街のゼスト御池なのですよね。それで、ゼスト御池に話を持って行ったら、いいですよと言ってくださり、はじまったのです。色々なことが重なりながら、ここまで7年間やってこれたというのは、不思議といえば不思議なんです。できるとは思っていなかったから。

大場:最初は、何年かの限定でされる予定だったのですか。

平山:続けたいとは思っていましたが、どうなるかはわからなかったですね。1回目は、ほとんど私たちの手作りで、2回目からだんだんゼストさんも協力してくださり、今はもうゼスト御池のイベントの一つみたいになっています。2回目までは、これで終わっちゃうんじゃないかなと思っていました。NPO法人にしたのは4年目で、それまでは実行委員会でしたが、ちゃんとやっていますよという姿勢を示すには、NPOにしたほうがいいかなと思ったからです。

「被災地の子どもたちにクリスマスを届けたい」という思いからはじまった「ジングル★ウィーク」。7年目となる現在、活動はどのように広がってきたのだろうか。

京都の子どもたちにも夢を与えたい

大場:東日本大震災から年月も経ち、関東とは違って、関西ではなかなか実感しにくい部分があると思うのですが、お祭りとして参加されている人も多いのでしょうか。

平山:私は、それでいいと思っているのです。寄付したいと思う人はすればいいし、そこで遊ぶだけでもいい。子どもたちが大きくなったときに、こういうイベントがあって、何か楽しいことがあったなと思い出せるといいかなと思っています。私がクリスマスを大好きなのは、クリスマスが楽しかったからだと思うんですね。クリスマスソングや、街がクリスマスの雰囲気になっていったり、ケーキが売られていたり、酔っぱらいのおじさんが三角帽子でいたりするのも、私はワクワクしたのだと思います。子どもたちにも、そんな気持ちになってもらえればいいなということで、被災地の子どもたちにクリスマスツリーを送っています。けれど、京都の子たちはイベントとして楽しんでもらって、そこで震災のことを思い出せればいいし、そうじゃなくてもいい。何か楽しんでもらえればいいなと思っています。

大場:そうなのですね。

平山:京都の夏には地蔵盆があるので、地蔵盆へお菓子を持って行ったり、「歌って」と言われれば、歌ったりしています。それと、「ジングル★ウィーク」の中ではオーディションをしているのですよ。私は東京生まれなので、歌手になりたいと思ったとき、すごく身近にその機会がありましたが、地方の人は東京へ行ってオーディションを受けたり、東京で仕事をしていても駄目になると家に戻らなくちゃいけなくなったりしますよね。だから、東京とつなぐ道を作ってあげたいと思って、東京から知り合いにオーディション審査に来てもらっています。デビューできるチャンスを作れるといいなと思っています。

大場:広く子どもたちを楽しませたい、夢のような世界を見せてあげたいという気持ちで活動されているんですね。

最初は平山さんの周辺の人たちと手作りではじめたイベントも、年ごとに協力してくれる人たちが増えてきて、多くのつながりが生まれた。

京都の仲間がいるからできること

大場:今年の見どころはどんなところでしょう。

平山:12月15日のオープニングには、フィンランドからオフィシャルサンタクロースが参加してくれます。今年も、毎日15時から19時までは色んな人にステージをお願いしています。ステージを観るために、いつも朝から年配の人たちが来てくださるんですよ。この時期が楽しみだと言ってくださって、年配の方々のためにもなっているんだなと思います。

大場:先ほど、東北の子どもたちにクリスマスツリーを送っているとおっしゃっていましたね。

平山:はい、今は幼稚園に送っています。地元に住む知り合いに頼んで、事前にクリスマスツリーがないところを探してもらって送るようにしています。園児たちが「ありがとう」というメッセージや飾り付けたツリーの写真を送ってくれたりします。行けるときには東北へ行って、園児と一緒に楽しみます。協賛が集まったら、一緒に飾ったりしたいのですが、まだそこまでいっていないのです。10年目の節目ぐらいに実現するといいなと思います。

大場:活動を通じて色んな人とつながりができているんですね。

平山:そうですね。結局、震災のときに私が何かやろうと思ったときに、これしか思い浮かばなかったからやっているのですが、そうじゃなかったら、ここまで続いていないでしょうね。被災地の子どもたちのためにということは、根底にあるのですが、クリスマスを楽しんでほしいという思いがあるから、続いているのだと思います。今でも手作りのようなイベントですが、京都で仲間がいるから、できているんです。見に来てくれる人も増えてきました。去年からはムービングツリーをはじめて、ツリーの中にサンタさんがいて歩くんです。それで子どもがいたら、パカッとツリーが開いてサンタさんがお菓子をくれるんですよ。

大場:へぇ!面白いですね。本当にクリスマス好きの子どもが増えるといいですね。今日はありがとうございました。

(佛大通信2017年12月号より)

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