通信教育クロストーク

2017年07月12日
学習体験記 社会福祉学科卒業生(Y.Nさん)

社会福祉学部 社会福祉学科 卒業生

1.30年越しのリベンジ

 私は現在、精神・知的障害者のグループホームに勤務している。そこで利用者と関わりながら、支援やアプローチの方法について日々悩むことがあった。しかし悩みながらもさまざまな方法を考えることに魅力を感じており、「もっと専門性を身につけたい」「福祉を勉強し直してみたい」と思い、通信制の大学に通おうと思い立った。
 今から30年ほど前、私は一度佛教大学の通信教育課程に入学したことがある。その頃の学籍番号は、84161-で始まるものだ。当時は除籍となってしまい、そのまま何年も月日が流れていた。以後自分の中に「卒業できなかった」という自責の念がずっと残っていた。
 今回の入学を機に通信学務課で調べていただくと当時の履修済み単位が残っており、3年次編入学が可能とのことだった。30年越しのリベンジだ。できるところまでやってみよう! そう決意して社会福祉学科に入学した。

2.私の学習方法

 私の一番の目標は、職場でも活かせる精神保健福祉士の国家資格を取ること。でも「どうせ社会福祉をきちんと勉強するのなら社会福祉士の国家資格にもチャレンジしてみよう」…そう考え社会福祉士と精神保健福祉士の科目別履修登録をした。
 履修科目がたくさんあったので、混乱しないよう初めにきちんと履修計画を立てた。1年目で概ね科目履修を終わらせて、2年目は現場実習と国家試験の受験勉強の時間に充てようと考え、卒業する年には精神保健福祉士の国家資格取得を目標とした。幸い免除科目が数科目あったが、それでも40科目ほどのテキスト履修とスクーリング履修がそれぞれ必要だった。
 とりあえず立ててみた履修計画は「鬼」のようにハードなものだった。しかし「できるところまで頑張ってみよう」、そう入学時に決めたとおりに自分に言い聞かせながら、4月中に最初のリポートを4科目書いて、翌5月には最初の科目最終試験を受験した。それから毎月4科目ずつリポートを提出、科目最終試験も4科目ずつ受験して履修を進めた。
 リポートを書く前にまずテキストを読まなければならないが、読んでもなかなか思い通りにリポートを書けないことが多い。そんな時、私は、その設題について漠然とある自分の考えを誰かに話すようなイメージで書いた。設題の内容を「起承転結」の4項目に分けてリポート用紙1枚に1項目ずつまとめて4枚(3,200字)にした。
 リポートがある程度書けた時点で改めてテキストを読み返すと、初めに読んだ時よりテキストの内容がすっと頭の中に入ることもあった。
 それでもどうしても書き進めないリポートは、一旦中断して別のリポートに取り掛かった。月によっては、中断したリポートが数本たまっていることもあったが、翌月以降再開するとすんなり仕上がることも多かった。
 日常のわずかな時間にもテキストをちょこちょこと読み進めながら、学習に行き詰まっても、自分自身が立ち止まらないことを意識した。昨日より1ミリでも前に進もう、そう思いながら過ごしていた。
 1年目の夏期スクーリングは、約20日間紫野キャンパスに通った。スクーリング中の昼休み、わずか15分間でもサンサーラでテキスト履修のリポートを作成した。スクーリングの講義のテーマがテキスト履修のリポート設題とリンクしている科目も数科目あり、スクーリング中も意外とテキスト履修を進めることができた。その甲斐あって最初の目標どおり、1年目で、概ねテキスト履修を終えることができた。

3.周囲の理解と励まし

 履修途中何度提出しても合格できないリポートもあった。科目最終試験を4回受験して卒業の前年11月にやっと合格した科目もあった。
 社会福祉援助技術実習の24日間は、平日は実習、土日は職場に戻って勤務に入るというスケジュールだった。関わらせていただいた利用者の皆さまをはじめ、実習指導者や施設職員の方々、職場の上司や同僚にたくさんの理解と励ましをいただいた。
 何度もくじけそうになりながらも、毎月毎月履修済み科目が増えてくると、その結果が自分の励みとなり、自分が思っている以上のちからが湧いた。
 学習会やスクーリングでできた友人からもたくさん励ましを貰った。そのうち科目最終試験日の夜は、友人たちと美味しいものを食べながら学習の悩みを語り合うことが恒例になっていた。
 卒業の目途がついた2年目の夏頃からは、「卒業式は袴姿で参列しよう!」と学習以外の夢も持った。それに向けて袴姿に合うよう髪の毛を伸ばしたり、友人と衣装の下見に出かけたりして、現実的に「卒業」を意識しながら国家試験の受験勉強に励んだ。

4.あっという間の2年間

 今こうして振り返ってみてもあっという間に過ぎた2年間だった。自分の人生の中で一番勉強し、いかに時間を有効に使おうか考えて工夫した2年間だった。
 一人で黙々とパソコンに向かってリポートを作成していた時間は確かに多かったが、孤独を感じることはなかった。佛教大学で出会った仲間が私の励みの源だった。
 社会福祉学科では、尊敬できる教授をはじめ、同世代や自分と同じ福祉職に携わっている人にたくさん出会えた。この2年間で出会った全ての人から社会福祉を学ぶことができた。
 当初履修計画を立てた時は、達成できるか不安なほど切り詰めたスケジュールだったが、この2年間の体験は私の中でひとつの大きな自信となっている。
 過去の自分から受け取った「リベンジ」の襷をかけて、無事「卒業」というゴールを切ることができた。
 人間には自分が頭の中で考えている以上のちからが備わっている。このことを自分自身改めて実感した。
 精神保健福祉士国家試験に合格し、卒業式には念願の袴姿で出席した。社会福祉士国家試験の方は点足らずだったが、次はこの合格を自分の目標にして、再びチャレンジするつもりだ。
 これからも通信教育課程で頑張る仲間を応援しつづけたい。今度は私が在籍中の仲間のちからになれればと思っている。
 最後に佛教大学の2年間で出会った全ての方々へ…
「ありがとうございました!」

~プロフィール~
2014年4月 佛教大学社会福祉学部社会福祉学科3年次編入学
2016年3月 同卒業

(佛大通信2017年6月号より)

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