佛教大学通信教育課程

通信教育クロストーク

2017年05月29日
学習体験記 日本文学科卒業生(T.Nさん)

文学部 日本文学科 卒業生

1 入学の動機

 再雇用の仕事も終わりかけた頃、残りの人生をどうしようかと考えました。何か夢中になるものがほしい。土佐遍路や山登りは非日常の世界であり、日々の暮らしの中心にはならない。考えた挙げ句、妻が佛教大学の通信生だったことも影響して、学生時代に断念した文学の研究をやろうと決めました。

2 私の学習法

 日本文学科へ入った以上、早く卒業することよりも、この際、文学的教養も養おうと思いました。そのためにシラバスを読みながら、3つのことをやろうと決めました。一つ目は、『源氏物語』と『平家物語』(現代語訳)の読破です。『源氏物語』は、あまりにも長大なので光源氏が亡くなる「雲隠れ」でやめましたが、それでも俺は日本文学科の学生なんだぞ、という変な自信はつきました。二つ目は、近代の各文学思潮の代表的な作家2人と代表作1冊を読むことです。普段なら絶対に手を出さない二葉亭四迷や横光利一などの作家を読むことになり、確かに文学史の理解を深めることができました。三つ目は、古文・漢文に強くなるためにNHKの高校講座(古典)を聴くことです。これは、古文・漢文の音読力をつけることに役立ちました。
 私は3年で卒業する計画を立てました。1年半でテキスト学習を終え、2年目でスクーリングもほとんど終えました。3年目は卒業論文の草稿作りに没頭の年でしたが、気分転換も含めて夏期のスクーリングを2つだけ残しました。先輩のアドバイスのとおり、講義に出ると何らかの卒業論文のヒントをもらうことができたので、冬期も単位には認定されませんでしたが、聴講生として幾つかの講義を受けました。
 スクーリングは、皆さんがおっしゃるようにとても楽しいものです。学友と宿を同じ所にして、夕食を共にして賑やかに語り合ったり、午後からの講義がない時は、図書館の4階にある視聴覚資料室で「張り込み」(松本清張)を見たりと、結構楽しんで過ごしました。また、朝の宗教行事にも必ず出席しました。話の内容は先生方の所感が中心で、玉石混交の感がありますが、先生方の別の顔を知ることができました。さて学習法ですが、参考文献の1冊は事前に必ず読んで講義に臨みました。課題が発表された後では時間がないからです。リポートは80点以上を目指して、もうこれ以上は書けないというギリギリの所まで詰めました。そのため、気がつけば夜中の2時、3時になるということもありました。
 テキスト学習は、スクーリングのない秋から春にかけて集中して取り組みました。はじめの頃は、ひとりよがりのリポートになっていないか、とても不安でした。「日本語学概論」リポートが再提出で返ってきた時は、どっと落ち込みましたが、やがて幾つかリポートを書いているうちに、不思議なもので、論文の書き方がわかってきました。それでも学習ばかりだと、息苦しくなってくる時があります。そんな時は、遠い北海道から仏教を学びにやってきているという90歳近くの高齢者の話を思い出して、しきり直しました。
 科目最終試験は過去問から問題を予想して、何通りかの模範解答を作って臨みました。試験会場で解答を考えていては60分では厳しいものがあります。キーワード暗記法とかありますが、私の場合は2週間前には解答を作り、それこそ一字一句まで丸暗記する方法をとりました。またまたくじけそうになると、俳優の仲代達矢さんが、2時間近くの舞台台詞を、部屋中に紙片に書き留めて暗記している姿を思い出して、我が身を励ましました。

3 卒業論文

 私の卒業論文のテーマは「漱石の戦争観についての一考察」でした。夏目漱石は、厭戦・反戦の人であったことは間違いありませんが、では近代の日本がアジア侵略の道を進んでいるという認識はあったのだろうか。作家論ともいってよいこの大きなテーマは、苦闘の日々でした。結論は後回しにして、草稿を少しずつ書いては提出し、指導を4回受けました。積んでは崩し、崩しては積んで…、他の論文を読んでは悩み、また、書き直し…呻吟の日々でした。そんな時、「面白い問題意識です」「力強い精緻な論述です」「どのような結論がつけ加えられるのか楽しみです」等の坂井健先生からのアドバイスはどれだけ励みになったかわかりません。卒業論文の壁にぶちあたった時は、論文のプロである指導教員に相談するに限るとつくづく思いました。
 卒業論文を書いていく上で、明治・大正の新聞や雑誌を調べる時は、「国立国会図書館デジタルコレクション」を利用しました。パソコンで検索できるので、いちいち図書館まで行かなくてもよいので、これは助かりました。わからない時は、佛教大学図書館の係の方にも相談しました。とても親切な方ばかりで、幾つかの論文を取り寄せていただきました。
 卒業論文の仕上げで特に気をつけたことは、先生方は本論を読む前に、序論と結論を真っ先に読むと聞いていたので、結論が序論に対応したものになるように留意しました。
 最後の口頭試問は、30分ぐらいでした。副査の先生から、引用の字句の間違いを指摘されたり、「あなたの論文のどこがオリジナルなのですか」と質問されたりしました。また、「あなたの論文を読むと、現代において漱石はもう読む価値がないというふうに受け取れますが、そこはどうですか」という想定外の質問をされ、しどろもどろになった場面もありました。かなり構えて口頭試問に臨んだのですが、帰りの新幹線の座席から立ち上がれない、という状態にはならなくてよかったと思っています。

4 さらに学ぶ

 2016年春に卒業したあと、まだ勉強する気はあるかと自分に問いかけてみました。漱石はもう充分だけれども、論文を書くあの緊張感は悪くないということで、今度は歴史学部で学ぶことにしました。妻も佛教大学の通信生なので、お互いに刺激しあいながら毎日を過ごしています。 

~プロフィール~
2013年4月 佛教大学文学部日本文学科3年次編入学
2016年3月 同卒業
2016年4月 佛教大学歴史学部歴史学科日本史コース入学

(佛大通信2017年5月号より)

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