通信教育クロストーク

2016年08月30日
学習体験記 現代社会学科卒業生N.Nさん

社会学部 現代社会学科 卒業生

はじめに

 私は、長年お世話になった重電機器メーカーを退職した後、これまで得られた様々なスキルを少しでも次の世代に役に立ててもらえればという強い思いと、50歳を超えた年齢を踏まえ、後進の育成という分野に自らの役目を担いたく、職場を教育現場に変えました。小中高の公立、私立の学校現場を経験する機会に恵まれると同時に、生徒を中心に現場で起こっている様々な問題を目の当たりにすることとなりました。その現象は、生徒、学校、家庭、地域社会、社会の動向、行政といった多くの要因が混濁し、最終的に学校での子どもの学力数値として表出されます。学校現場では、未来の主役のために何とか少しでも学力を上げることに日々奮闘しているのですが、その根本的解決に至るためには「教育」を行う前提である「社会」について、もっと知る必要があるのではないかと日々考えるようになりました。そして、それらの身近な問題をもっと学術的に考えたいという強い欲求から、社会学という学問を選択し、2013年10月に現代社会学科3年次に編入学させていただきました。

学習の準備―まずは、計画表―

 通信教育という形態では、ご存じの通り、能動的な姿勢が強く求められます。そのため、事前計画は必須と思い、10月入学でしたので入学の8月の後半に、卒業までの単位取得計画表を作成しました。計画表は、全必要単位数を眺め、だいたい月に何科目の受験が無理なく履修を進めることができるのかということを踏まえながら、どの月にどの科目のリポートを提出するのかということをとりあえず決めたものです。私の場合は、しんどいことや時間のかかることは、余力のある最初にやっつけてしまう性分なので、自分にとって難しそうと感じたリポート課題を最初に選定しました。実際のテキスト履修ペースとしては、1カ月に4単位分を毎月提出することで1年ちょっとで完了するといったところです。
 スクーリングの履修は、覚悟を決めて可能な限り3回生時に完了するように選定したため、3回生は土日返上の日も多く、夏のスクーリングは10日間連続受講としました。
 これで卒業までの道が明確になり、あとは計画に沿って焦らず履修を進めました。

テキスト履修―とにかく提出してみる―

 自分で計画した履修予定に従って、私の初リポート4単位分は、入学初月の10月10日までのリポート提出期限に間に合わすことができました。幸先の良いスタートでしたが、実はこの最初に提出したリポートは、その課題の意味すら理解できず、シラバスに掲載されている参考図書を読んでも益々わからなくなる始末で非常に苦労しました。結局、シラバスの履修のねらいを何度も読み返して、まずは「何が求められているのか」ということを自分なりにまとめてみました。そして、その内容について自分に理解できるレベルの専門書やYouTubeにアップロードされている他大学の教授の講義を見たり、そこそこ理解できたなと自分で感じた頃に、もう一歩学習を深めるためにCiNiiに公開されている関係論文を参考にしたりと、右往左往しながらも何とかリポート合格をいただきました。それ以降のリポート作成についても難解な課題の場合には、まずはシラバスを見て「この課題について何が求められているのか」を考えるようにしました。
 提出したリポートは、後日、先生のコメントが書き添えられて返送されてきます(電子ファイルで提出してもきれいに印刷されて返送されてきます)。このコメントは、科目最終試験の準備に生かしました。リポート作成も回を重ねるごとに、このコメントが楽しみになり、励みにもなりました。

スクーリング履修―日頃の疑問も即解決―

 スクーリングは、なんと言っても学校で勉強しているということが実感でき、学ぶモチベーションが上がる楽しい貴重な時間でした。どの先生もとても親切、丁寧な方ばかりで講義後に素人質問を遠慮もなく先生に投げかけた時も、解りやすく説明をしていただきました。また、講義以外でもリポートの書き方などについて等、日頃から疑問に思っていることの相談にも親身に聞いていただき、後の卒業レポート作成時にとても助かりました。このようなすばらしい先生方とのコミュニケーションは、学ぶモチベーションを確実に上げていきました。
 専門科目になるとゼミ形式の授業形態になることが多く、授業メンバーもほとんど変わらない顔ぶれで、すぐに親しく話ができる雰囲気になりました。授業では、さまざまな世代、職業の方々がおられ、特に若い世代の方の物の捉え方や考え方を聞くことができたことは、私にとって視野が広がり刺激的でした。

卒業レポート

 社会学部は、卒業論文ではなく、卒業レポートです。まず、この違いは何かを理解し、卒業レポートに取り組みました。それでも、計画書の構成自体に問題があり、基本的なところの修正を担当教授から教えていただきながら、草稿許可を何とかいただきました。草稿提出時も文書内に参考文献掲載のグラフを写真で撮り、そのまま掲載したことや、句読点がない長い文章など、今から思い返せば相当ひどいレポートにも、根気よくご指導しただき、最後の完成までこぎつけることができました。卒業レポートや卒業論文の作成は最後の大仕事になりますが、完成後の達成感は、内容の出来映えはひとまず別として、格別なものがあります。そのためには、やはり担当指導教授とのやり取りを充実させることが大切だと思います。

まとめ

 入学してからあっという間に卒業が来てしまったという感じからも、非常に充実した2年間だったと思います。その背景には、2年で卒業することを応援してくれた妻やスクーリングのために休暇を快諾してくれた職場の皆さん、そして、心地良い学習環境を大学や多くの先生方、学友からいただけたことがありました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。学習的には入門編を終えたという感じなので、次回は大学院の門を何とか都合をつけて叩いてみたいと思います。

~プロフィール~
京都府在住。
重電機器メーカー技術者、経済産業省制度支援NPO理事を経て私立中高一貫校に勤務。
2013年10月 社会学部現代社会学科3年次編入学
2015年9月 同卒業

(佛大通信2016年9月号より)

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